藤井聡太21歳が「独創的で豊かな発想力」と絶賛…山崎隆之43歳「藤井さんを悩ませたい」15年ぶりタイトル挑戦“山ちゃん”とは何者か
vsコンピューターの電王戦、あえて事前研究せずに
その山崎が再び脚光を浴びることになったのは、2015年に創設された叡王戦(当時は非タイトル戦)である。 棋士同士の戦いを制した山崎叡王と、将棋ソフト同士のトーナメントを勝ち抜いた『PONANZA』が、第1期電王戦で二番勝負(2日制で持ち時間は各8時間)を行った。PONANZAは過去3期の旧電王戦(棋士対将棋ソフトの団体戦五番勝負)で、A級棋士らに3勝した最強将棋ソフトだった。 その団体戦の対局で棋士たちは、対戦する将棋ソフトの貸し出しを事前に受け、実戦を通して作戦を練ったり弱点を探ったりした。しかし、力将棋を身上とする山崎は、電王戦に際して事前研究にあえて取り組まなかったようだ。 山崎は電王戦第1局で乱戦に持ち込んで挑発的な手を指したが、怖さを感じないPONANZAに強く応じられると、山崎の方が戸惑いを感じて判断を誤った。中盤以降は一方的に攻められ、PONANZAが快勝した。 第2局はPONANZAが先攻し、山崎が守勢に回った。中盤でPONANZAに疑問手があり、山崎が強く攻め込む手段が有力だったが、残り時間の切迫で決行できなかった。それ以降は形勢が次第に悪くなり、最後はPONANZAが鮮やかな即詰みに仕留めた。
藤本渚らと実戦を重ねたことが好調の要因
PONANZAに2連敗した山崎は、「勝負にこだわる気持ちと、納得できる指し方をしたい気持ちの間で揺れ動きました。実力不足でしたが、私利私欲がないPONANZAとの真剣勝負はいい経験になりました」と、終局後に感想を語った。 山崎は近年、タイトルを獲得した実力者と勢いのある若手精鋭の間で埋もれていたが、中堅棋士として安定した成績を収めてきた。順位戦ではB級1組に通算16期在籍し、2021年にA級に昇級した。ただ前期順位戦でB級2組に降級する危機に陥った。それを契機に勉強法を改めたという。藤本渚五段(18)らの若手棋士や奨励会員と実戦を重ね、夜はオンラインで対戦している。自身の棋士人生において、最も数多く指しているそうで、このようにも語っている。 「強くなりたいという向上心によって、読みの量や深さが増えました」 そうした努力が、公式戦での好調の要因になっている。 山崎八段は棋聖戦で森内俊之九段(53)、渡辺明九段(40)、永瀬拓矢九段(31)、佐藤天彦九段(36)らのタイトル経験者を連破し、藤井棋聖への挑戦権を得た。竜王戦の1組ランキング戦でもタイトル経験者の森内九段、久保利明九段(48)、佐藤康光九段(54)らを連破し、1組優勝と本戦出場を決めた。独創的な指し方と、不利になっても決め手を与えない粘りが原動力だ。
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