ソニン、今年はずっと“戦う女” 「夢は手を伸ばさなければ届かない」
THE PAGE
ソニンのミュージカル初出演作品「スウィーニー・トッド」を取材して11年が過ぎた。当時はまだ粗削りながら、3Dアトラクションのように前に前にと迫ってくるエネルギッシュな演技に圧倒された。大竹しのぶにあこがれ、オーディションを受けて射止めた舞台だった。以来、もともとは元気に歌って踊ってのパフォーマンスで芸能界デビューしたソニンも、いまやすっかり女優、それも舞台女優のイメージが強い。今年も「1789 -バスティーユの恋人たち -」(再演、4月9日~帝国劇場ほか)、「マリー・アントワネット」(9月~博多座、10月~帝国劇場ほか)とミュージカルが続く。とくに前者は全111公演を週8回ペース、ソレーヌ役をシングルで突っ走る。34歳になり、これから女優として演技もルックスも磨かれていくであろうソニンに、プライベートも含め芝居への取り組みについて聞いた。
今年のソニンは「戦う女」
「今年はずっと貧しい平民で、戦う女みたいな役が続くんです」 民衆は貧困にあえぎ、貴族は贅沢に溺れる18世紀末のフランスが「1789」の舞台だ。革命家となった兄を追い、生き抜くためにたくましさを身につけ戦いに身を投じるソレーヌを演じるが、2年ほど前の初演時は、哀しみを秘めながらも激しく強い迫力のある演技が評価を受けた。 「王族役の人たちがきれいなドレスを着て歌っているのを見て、われわれ平民役は怒ってダンスする場面があるのですが、すごく激しい歌だし、稽古中も王族が憎くって。『あの人たちは遊んで食べて。こっちは理不尽な理由で親族が殺されたり拉致されたり食べるものもない』という怒りのパッションが必要なので、稽古中は現実と物語の境目がなくなったような気持ちになります。実際に平民役のわれわれはアクションも激しいし、ボロボロの衣装しか着れませんし」
よい演技を見せるためのトレーニングと食事
そう言って笑うが、よい演技を見せるためには、まず体力が必要とトレーニングに明け暮れる日々を送る。 「初演のとき思い知らされたんですが、ハード過ぎて、身体がどんどん調子悪くなっていったので、今回はスタミナ作りからやっています。股関節がやや弱いのに、激しく踊ったり走ったりしなければならないので、初動負荷トレーニングやインナーマッスル系の強化に力を入れています。それから、水泳などで心肺機能と持久力を高めるようにしています」 弱い部分があるからといって、自分を甘やかさない。最善の方法を見つけては試し、体調を整えていく。食生活では、ヴィーガン(動物製品の使用を行わない生活様式)を取り入れているという。 「『スウィーニー・トッド』で取材していただいたときは、まだベジタリアンにもなっていなかったんです。それ以降、役に合わせて減量したくて、そこでダイエットに向いているのかなとたまたま調べたマクロビオティックをやってみたら、お肉が自然と食べられなくなりまして。そのあといろいろ勉強して、最終的にヴィーガンの生活は栄養学的にもバランスよくて身体にも負担がないということで、そのまま続けています。乳製品もとらないというか、欲しくならないんです。先日もソイラテを頼んだのに間違えて牛乳の入ったラテがきて、『ん? これ牛乳じゃない?』って、すぐにわかるんですよ」 ただ、これまではパワフルな演技が要求される役が多かったが、今後はできればもう少し落ち着いた役をやってみたいという。 「年齢を重ねていけば、そのうちスタミナがもたなくなってオーバーワークぎみになってきます。そろそろもっと大人の役をやりたいですね(笑)。よく『ソニンちゃんパワフルだから』っていわれるのですが。『1789』も、初演から2年経っているわけで、そのぶんトレーニングをしないとキープできませんから」