ランゲラック、ナイス・ガイでキュートな笑顔… 愛された名古屋グランパス守護神、雨の国立にスマイルがまた咲いた【ルヴァン杯】
◇2日 ルヴァン杯決勝 名古屋3―3(PK5―4)新潟(国立競技場) 2021年以来、3大会ぶりの制覇を目指す名古屋が、初タイトル獲得を狙った新潟をPK戦で下し、2度目の優勝を飾った。名古屋の主将で守護神のGKランゲラックがMVPに輝いた。 ◆名古屋グランパス、歓喜の輪で喜び爆発【写真複数】 【記者メモ】 ナイス・ガイでキュートな笑顔。今季限りでの退団を発表した名古屋グランパスのGKランゲラックの第一印象だ。6年前―。当時、日本代表担当だった記者は、2018年W杯ロシア大会前の春に初対面。ドルトムントで香川真司、シュツットガルトで浅野拓磨のチームメートだったGKに名古屋の練習場でインタビューした。 内容のほとんどは日本代表選手についての取材。それでも、嫌な顔を一切せず、ユーモアを交えて興味深い話を教えてくれた。香川とはドルトムントで2010年同期入団。「初練習で(香川が)激しいタックルをして驚いた。日本人はおとなしいイメージがあったけど、シンジは違った。だから、クロップ監督にも信用されたと思う」と思い出を語ってくれた。 16~17シーズンには浅野と同僚になった。海外初挑戦の日本人ストライカーに、ドイツ語を英語に翻訳するなど“通訳”も担当したという。来日して「浅野」の表札を見つけると「『これがタクマの家か?』ってメッセージを送ったよ(笑)」とにやり。後日、浅野に聞くと「あ~ありましたね(笑)。ドイツで試合に出られない時、ジョークで励ましてくれました。すごくいいヤツです」と白い歯を見せた。 インタビューのメモを読み返すと「タクマは稲妻のように速かった。足だけでなく、筋トレも。例えば、30秒で30回腕立てするところを極端に言えば60回やっていた。向上心がすごかった」とエピソードを披露してくれた。W杯ロシア大会1次リーグで対戦したポーランド代表のレバンドフスキとはドルトムントの同期入団で、そのすごみを解説してくれた。 取材後の帰り道にカメラマンと「めちゃくちゃナイス・ガイ」と口をそろえた記憶が鮮明に残っている。あれから6年。タイトルを置き土産に、シーズン終了後は母国オーストラリアに戻る。元日本代表GK楢﨑正剛さんから背番号「1」を引き継ぎ、J1リーグ823分間の無失点記録も残した。名古屋の街を愛し、仲間やファンから深く、広く愛される守護神に成長した。そして、雨の国立に咲いた「ナイス・ガイ」のスマイルは、相変わらずまぶしかった。(占部哲也)
中日スポーツ