【米国株ウォッチ】スナップチャット運営元のSnap、好決算と自社株買い発表で株価急騰
SNSのSnapchat(スナップチャット、ティッカーシンボル:SNAP)などを展開する米Snap(スナップ)は、米国時間10月29日の取引終了後に2024年第3四半期(Q3)決算を発表し、その業績内容が良かったことから株価は取引時間外で10%以上急騰した。スナップは、収益13億7000万ドル(約2084億円)、調整後のEPS(1株あたりの純利益)8セントを計上し、それぞれ市場予想の13億6000万ドル(約2069億円)、6セントを上回った。 本稿では、スナップの直近の決算、バリュエーション、株価パフォーマンスから得られる主なポイントについて説明する。 ■Q3決算の内容 スナップのQ3決算における収益は前年同期比15%増の13億7000万ドル(約2084億円)だった。スナップチャットの有料プランであるSnapchat+(スナップチャット・プラス)の会員数は1200万人に達し、前年同期比で2倍以上増加した。DAU(デイリーアクティブユーザー)は9%増の4億4300万人、ARPU(ユーザー1人当たりの平均収益)は前年同期比6%増の3.10ドルだった。DAU、ARPUともに市場予想を上回った。スナップの調整後EBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)ベースの利益率は、前年同期と比べて7ポイント改善し、10%となった。増収と利益率の拡大により、調整後のEPSは前年同期の0.02ドルから0.08ドルに急増した。 今後の見通しとして、スナップはQ4決算における収益を15億1000万ドル(約2300億円)から15億6000万ドル(約2380億円)の範囲、調整後の純利益を2億1000万ドル(約320億円)から2億6000万ドル(約396億円)の範囲になるとの見通しを示している。この予想利益の範囲の中間点は、Q4決算の市場予想を上回る。併せて、同社は5億ドル(約761億円)の自社株買いプログラムも発表した。 ■スナップ株の今後の見通し 明るい四半期決算、予想を上回る業績見通し、自社株買い計画など、同社は投資家を満足させるほぼすべての条件を満たした。当然のことながら、株価は時間外取引で急上昇した。 私たちは、スナップの目標株価を米国時間10月30日現在の株価である約12ドルに近い、13ドルと見積もっている。この目標株価は、過去4四半期における株価売上高倍率の平均である4倍を利用し、それに予想収益を掛け合わせて算出した。 S&P500種株価指数の年初来上昇率が22%であるのに対し、スナップの株価は年初来で約29%下落している。もう少し長い期間で見ても、過去3年間のスナップ株の年間リターンはS&P500よりもかなり不安定である。スナップ株の年間リターンは、2021年にマイナス6%、2022年にマイナス81%、2023年に89%だった。
Trefis Team