なぜ9.25RIZIN堀口恭司の凱旋試合の相手が一部ファン疑問視の金太郎に決まったのか…3連敗でベラトールと契約解除の可能性も
堀口の次の候補としては朝倉海との3度目対決、優勝候補と言われながらGP準決勝で扇久保に敗れた井上直樹らの名前が挙がったが、榊原CEOは「(ファンは)誰との試合を見たいか、誰とやるべきかと考えたときに(朝倉)海も怪我しているし、井上もいない。瀧澤だったらいいのか。そうそう(候補が)いない。では、外国勢で堀口にふさわしい選手も異口同音、”この選手がよかったのに”という選手はいない」とコンディションの問題などから、対戦候補が消えていった苦しい台所事情が背景にあったことを明かした。 そこで浮上したのが、アグレッシブな打撃系ファイターで「ワンチャンある」(榊原CEO)と、番狂わせの可能性を秘めた金太郎だったわけだ。「みんなの思いに100%答えていないと思われがちだが、期待してもらえれば」と言い切った。 この日の会見に出席した金太郎も、「いろんな意見がありますけど、1ラウンドから目を離さないでください。全員黙らせます」と、批判的な意見に真っ向反論。堀口より何が上回っているのかと聞かれ、「殺す気持ち」と真剣な目をして答えた。 金太郎は、現在、都内の世界王者が所属するボクシングジムに通って打撃技術を磨いており、”世紀のアップセット”を虎視眈々と狙っている。 そして榊原CEOは、堀口にとってベラトールでの生き残りをかけた崖っぷちの査定試合になることも明かした。 「ベラトールで3タテを食らうとリリース(契約解除)なんです。そういう意味で堀口にとって重たい試合。このレベル(金太郎)にきっちりと勝ってこないとベラトールは“いいかな“となる。金太郎のキャリアと戦績を見ると、ここをパスして当たり前で、ベラトールに戻ってくるのが堀口に課せられたテーマ。ベラトールの中でのGPは続いていく」 榊原CEOは、ベラトールのスコット・コーカー会長にも金太郎とのマッチメイクを伝え「それでいい」との返答をもらったそうだが、堀口が再びベラトールでのタイトル戦線に舞い戻るためには、絶対に負けられない試合となるのだ。 米国からリモートで会見に参加した堀口は、この試合の位置付けについて、「毎回、1試合1試合で臨む気持ちは変わらないので今回の試合の位置付けとかはないですね」と淡々と語り、金太郎戦を拒否する権利もあったが、あえて受諾した理由を「自分はあまりオファーを断らないので、それでオファーを受けました」と明かした。 2019年8月に行われた朝倉海との第1戦も腰やヒザの状態は最悪で、しかも、堀口にとってメリットのない試合ではあったが、オファーを受けた。結局、まさかの一撃でノックアウトされる大番狂わせが起き、その後の手術を経て、2020年大晦日のリベンジ戦のドラマへとつながった。キックボクシングルールで、那須川天心との対戦を受けたこともあった。いつどこでどんな相手との対戦も断らないのが格闘家としての堀口のポリシーなのだろう。 「試合を見てください」と多くを語らなかった堀口だが、どんな試合を見せたいか?と問われ、「全く違う動きやよく言われる動物みたいな動きを楽しみにしてください」と答えた。 最後にファンに向け「当日は格闘技は凄いなという試合を見せるのでみなさんぜひ会場に来て見てください。お願いします」とのメッセージで会見を締めくくった。 ベラトールの2連敗で急落した“商品価値”を取り戻すために、金太郎戦では、勝敗だけでなく、その内容も問われることになる。堀口の真の敵は、己の内側にあるのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)