【高校野球ベストシーン’23・徳島編】鳴門が好投手を攻略、153キロ右腕・川勝を足と小技で揺さぶって勝利
2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。各都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。 【動画】川勝の豪速球など24年のドラフト候補紹介 【選手権徳島県大会準決勝・鳴門vs生光学園】 好投手攻略のお手本とは、このことをいうのだろう。徳島県夏の準決勝。鳴門は、最速153キロの速球が武器の生光学園の2年生エース・川勝 空人投手を相手に、チャンスを確実にものにして3点を奪って1点差勝利。剛速球右腕を完全に攻略した結果だった。 初回から襲い掛かった。好投手といえども立ち上がりは不安なもの。そこを見事についた。2番・宮本 悠汰内野手(3年)が直球をジャストミートすると、右中間への三塁打。次打者の時に、スクイズをしかける。川勝も読んでいたのかウエストしたが、その投球が大きく高くそれて暴投。鳴門のゆさぶりをかける攻撃が功を奏して、先制点を手にした。 さらに四球で出た走者を盗塁で二塁へ。一塁走者は1球ごとにスタートを切る構えをして、一塁に戻ることを繰り返していたが、一瞬の捕手のスキをついて二塁へ。まんまと二塁を陥れた。その走者を左前安打でかえして2点目を入れる。得点への貪欲な姿勢で「先制パンチ」に成功した。 1点を返されて迎えた7回には、またも宮本が右中間への三塁打を放つと、今度は初球からいきなりスクイズ。今度は、しっかり決めてダメ押しの1点を奪った。川勝は肩を落とすしかなかった。宮本は結局その後も二塁打を放つ大活躍。いずれもコンパクトに上からたたいたスイングでの打球だった。 生光学園は9回1点差まで詰め寄る粘りを見せたが、あと1歩届かず鳴門に逃げ切られた。 172球を投げた川勝は、打たれた気がしなかったに違いない。150キロを超える直球と、大きなカーブ、スプリットなどで強力な鳴門打線に思うような打撃を許さなかった。初回のわずかなスキと、7回にワンチャンスをものにされて、惜しくも敗れた。 生光学園は昨年秋に準々決勝で鳴門に敗れ、今年春季大会では準決勝で、再び鳴門に敗れた。打倒鳴門で臨んだ夏も、また準決勝で敗れる悔しさを味わった。 今年の徳島大会では、生光学園の153キロ2年生右腕・川勝だけでなく、4強に入った阿南光では、同じく2年生の最速146右腕・吉岡 暖投手が活躍。投手力のレベルの高さを見せつけた。阿南光は秋季四国大会で準優勝を収め、来年春のセンバツの出場に大きく前進している。県内でしのぎを削る右腕の甲子園マウンドを楽しみにしたい。 <全国高校野球選手権徳島大会:鳴門3-2生光学園>◇2023年7月25日◇準決勝◇オロナミンC 鳴門スタメン (遊)桐川 翼(2年) (三)宮本 悠汰(3年) (中)豊田 凌平(3年)※法政大進学予定 (一)城田 悠晴(3年) (左)齋藤 巧夢(3年) (捕)上原 知也(2年) (右)佐藤 有悟(3年) (投)真鍋 至憧(3年) (二)渡邊 遥太(3年) 生光学園スタメン (中)豊川 輝来(2年) (左)安藝 健太(3年) (遊)渡辺 隼輔(3年) (三)岸本 賀意(3年) (一)福池 航輝(3年) (二)伊佐治 大成(3年) (右)今西 愛仁(3年) (投)川勝 空人(2年) (捕)桁谷 響己(3年)※松本大進学予定