2024年の花粉飛散量は例年よりやや多め。花粉症の名医に聞く!「対流花粉」対策。約3人に1人は「重度花粉症」
目のかゆみや鼻水・鼻詰まりをはじめとした数々の不快な症状が表れる花粉症。ヒノキ、ブタクサなど原因となる植物はいくつもありますが、その中でもスギ花粉は毎年2月ごろから飛散し始めるため、そろそろ対策を考えておきたいところです。ロボット掃除機「ルンバ」を販売するアイロボット社が行った調査では、花粉症の中でも特に症状が重い「重度花粉症」に悩まされる人は約3人に1人存在することが分かっており、花粉症の深刻な実態が窺えます。耳鼻咽喉科医の石井正則先生によると、花粉症には家の床と空気中を行ったり来たりする「対流花粉」の対策が特に重要なのだそうです。24年の花粉飛散予測や対策についてお伝えします。 【写真】「花粉症レベル」チェックリスト * * * * * * * ◆24年の花粉飛散傾向は? 日本気象協会が発表する花粉飛散予測第2報によると、24年の花粉は全国的に例年よりやや多い傾向となっています。中でも、近畿・東北・北海道エリア(シラカバ)では特に多くなる見込みです。 耳鼻咽喉科医・石井正則先生によると、増加の原因は23年の夏の猛暑によるものだそう。 「高温・多照・少雨」と花粉が増える条件が全国的に揃ったため、例年(過去10年の平均)に比べ、ほとんどの地域でスギ花粉が増加傾向なのだといいます。 一方、日本気象協会は、九州から東北南部では前年と比較すると花粉が減少傾向であると予測しています。 しかし、23年は過去3年間の統計で最大の飛散となった年であるため、これは安心材料とはなりません。花粉対策を怠ると辛い症状を引き起こす可能性が高いため、油断しないようにしてください。
◆花粉症の実態 アイロボットが全国の花粉症に悩む人1000名に対して行った調査では、約3人に1人が「重度花粉症」であることが判明し、深刻な症状に悩まされていることがわかっています。 また、6割以上が判断力が低下、半数以上が夜眠れなくなった、4割近くがメンタルの不調を何度も感じているなど、非常に深刻な状況も明らかになっており、花粉症の症状が日常に支障をきたしていることが問題視されています。 石井先生監修の「花粉症レベル」チェックリストによると、「朝、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの発作が起こる」から始まる10項目のうち5つ以上当てはまる人は、花粉症の人の中でも特に過酷なつらさを抱える「重度花粉症」であるとのことです。 子どものスギ花粉症も年々増加傾向にあります。以前は小学校に入る6歳頃に症状が出はじめるケースが多かったのが、最近では4~5歳で発症しはじめる子どもが増えています。発症率でみると、5~9歳で30.1%、10~19歳で49.5%と大人とさほど変わらないことがわかっています。(※) 子どもの花粉症対策では、花粉に触れる機会を減らすことが特に重要で、発症を遅らせたり、防いだりすることができます。 アイロボットが実施した調査では、約7割が「子どもがいることにより、床や空気がきれいかどうかが、子どもがいないときに比べて気になるようになった」と回答し、より環境を意識していることが判明しました。 (※鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2020年版(改訂第9版)参考)