久石譲さんが音楽監督に就任 日本センチュリー交響楽団の「未来」描く鍵は伝統と現代性
スタジオジブリの映画音楽を手掛けたことでも知られる久石譲さんが来年4月、日本センチュリー交響楽団(大阪府豊中市)の音楽監督に就任する。久石さん自身「経済的に大変なオケ」と評する同楽団。作曲家、指揮者としての手腕に加え、知名度による集客も期待される久石さんは、楽団の”未来”を描くキーワードとして伝統と現代性を挙げた。 【写真】日本センチュリー交響楽団の桜井博志理事長と握手を交わす久石譲さん ■ファン縮小への危機感 日本センチュリー交響楽団の起源は昭和27年に誕生した「大阪府音楽団」。平成元年に財団法人下で交響楽団として生まれ変わり、翌年に「大阪センチュリー交響楽団」と命名、府から多額の補助を受けていた。 しかし、府の財政悪化に伴い自立を求められ、平成23年に「日本センチュリー交響楽団」として独立、その後も資金面で厳しい運営が続く。演奏会などの収入だけでは支出分をまかないきれず、独立時の「貯金」は使い果たし、国、自治体の補助、民間からの寄付で運営が成り立っている。 10月20日に豊中市内で行われた久石さんの就任会見で、同席した桜井博志理事長はファンの「縮小」にも言及。「お客さまはお年寄りが多い。もっともっと広く、いろんな人たちに楽しんでもらえるクラシックにしなければいけない」と危機感を隠さなかった。 ■個性を作る 久石さんは作曲家としてクラシックファンからの評価は高く、ジブリ作品をはじめとする映像音楽の分野でも高い知名度を誇る。桜井理事長は「数万人規模のコンサートを開催できる人は、世界の中でも久石さんしかいない」と語り、大きな期待をのぞかせた。 楽団を取り巻く現状を変えるために何をするか。久石さんは「客を呼ばなければいけない。それだけの個性を作らなければいけないが、そんなに簡単にできることでは全くない」。一方で、突破口となりうる個性として、団員が約50人と比較的小規模な「室内オーケストラ」である点を挙げた。 「(大規模編成の)オーケストラは車で例えればダンプカーみたいなもので、急に回れない。室内オケはスポーツカーでスピード感とキレがいい。それをこのオケは実践できる。みんなで協力しながら、一人でも多くのお客さんをつかんでいきたい」 ■海外進出「今は無理」