『ラストマイル』にUDIラボ再結集!ドラマ「アンナチュラル」の魅力
そんなミコトと、ことあるごとに対立するのが、井浦演じる中堂。解剖実績はミコトの倍ほどあり、法医解剖医の実力は誰もが認める存在。しかしとにかく口が悪く、パワハラまがいのことをするため、同僚から訴えられてしまうという男だ。演じた井浦も公式サイトで「人間的には扱いづらくて協調性のない男」と語っているが、彼にはUDIラボで働かなければいけない理由がある。
「それならもっとみんなとうまくやっていけばいいのに……」と思う視聴者も多かっただろうが、そこが中堂の不器用なところで、人間臭いところでもある。法律すれすれどころか、完全にアウトな行動も目的のためには辞さない。その理由があまりにも人間的なところも中堂の魅力だ。そんな“変人”を井浦が、嫌悪感を持たれない絶妙なさじ加減で好演。「アンナチュラル」が放送開始されると、井浦のInstagramのフォロワーが1か月で2万人も増えたと新井プロデューサーが語っていた(TVerプラス)ように、大きな人気キャラとなった。 また窪田演じる六郎も作品には欠かせない存在だ。アルバイトとしてUDIラボに所属し、ミコトの「三澄班」で解剖時の記録整理業務を行っている。祖父、父ともに医者で、二人の兄も医者という家族のなか、医者になることを義務付けられたという背景を持つ。特殊な家系ながら非常に“普通”の感覚を持ち合わせおり、UDIラボのなかでも、独特の存在感を示しているが、一方で、UDIラボの内情を週刊誌に伝える密偵の役割も担っていた。
その他、ミコトの同僚であり頼れる存在の東海林夕子(市川実日子)や、中堂に対し訴訟を起こす臨床検査技師の坂本誠(飯尾和樹)、UDIラボの所長・神倉保夫(松重豊)など、シリアスな物語に緩急を加えてくれるキャラクターたちの人生も興味深い。
コロナ禍を予言?先見性のあるストーリー
こうした登場人物たちが躍動する「アンナチュラル」。もう一つ特筆すべき点が、題材の先見性だ。
本作は2018年1月から放送がスタートしたが、第1話の題材が、2020年からパンデミックとなった新型コロナウイルスの世界を予言していたかのような内容なのだ。第1話「名前のない毒」で取り上げられたのは、MERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルス。しかも劇中には「PCR」でのウイルス検出方法の提案や、MERSコロナウイルスが国内で発見されると、防護服や消毒液、マスクなどの感染対策、マスコミによる糾弾、SNSに飛び交う誹謗中傷など、まさにコロナ禍と同じような描写が続く。