春の夢は夏開く 日本航空石川、星稜 /石川
新型コロナウイルスの影響で中止された今春のセンバツ高校野球に出場するはずだった全国32校が、8月に行われる交流試合で甲子園の土を踏むことになった。県内でも10日、星稜と日本航空石川に吉報が伝わり、選手らに喜びが広がった。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ◇うれしくて鳥肌立った 日本航空石川 日本航空石川では午後4時10分ごろ、グラウンドで練習していた選手らに小林学校長から交流試合開催決定が告げられた。その後、中村隆監督が「3年生の春からの我慢を考えると、1試合でも本気の勝負ができると思うとうれしかった。勝ち負けではなく、一生懸命やってきた証を披露しよう」と激励。声を詰まらせる監督を前に、思わず涙を流す選手もいた。 航空石川は昨秋の県大会、北信越大会で準優勝し、2年ぶり2回目のセンバツ出場が決まっていた。新型コロナの影響で3月中旬の練習を最後に実家に帰り、6月8日に練習を再開したばかりだ。井口太陽主将(3年)は「高校野球でやってきたことを出し切って、応援してくれた人に感動を与えられる試合を全力でしたい」と大舞台で試合ができる日を待ち望んだ。 中谷仁人(ひろと)捕手(同)は夏の甲子園中止が決まった5月20日、一人で号泣したという。待ち望んだ最後の舞台に「(独自の)県大会、交流試合で3年間の思いをぶつけたい」と力を込めた。嘉手苅(かてかる)浩太投手(同)は「素直にうれしい。鳥肌が立った。甲子園では150キロを出し、10奪三振を目指す」と意気込んだ。【井手千夏】 ◇思う存分プレーする 星稜 「センバツは残念だったが、皆の努力の結果が夏にご褒美として返ってきた。出場できるのは32校、勝ち取ったチャンスを大切にしよう。おめでとう」 午後4時過ぎ、星稜の林和成監督はノック練習をしていた選手らをグラウンド中央に集め、センバツ交流試合の開催決定を伝えた。神妙な面持ちで聞く選手に林監督が水を向けると、「うれしいです」と声が上がり、笑顔がこぼれた。 星稜は昨夏の甲子園決勝で履正社(大阪)に惜敗し、全国制覇の夢を今年に持ち越したが、センバツに続き夏の甲子園も中止に。履正社戦に出場した内山壮真主将(3年)は交流試合開催の知らせに「信じられない」と驚きを隠さなかった。「自分たちのためにがんばってくれた方への感謝の気持ちを持ち、1試合を大切に戦って、勝って終わりたい」と誓った。知田爽汰選手(同)は「甲子園で借りを返そうと1年間練習してきた。目標ができたので、もう一度がんばって練習して、思う存分プレーする」と話した。 チームは6月8日から練習を再開。林監督は交流試合には3年生中心のメンバーで挑むとし、「勝敗にこだわり、悔いの無い1試合をしたい」と誓った。【近藤幸子】