70歳になり、高齢者の事故が多いことから「自動車免許の返納」を考えています。免許を返納すると「タクシーが安くなる」と聞きましたがどれくらいお得になりますか?
近年、高齢者による自動車運転事故のニュースをよく見かけるようになりました。年齢を重ねると、身体機能の衰えとともにとっさの判断能力も低下していきます。 そのため、運転中にアクセルとブレーキを踏み間違えたり、人の飛び出しに反応できなかったりと、さまざまな支障をきたすおそれがあります。自動車の運転に不安を感じるようになってきたら、事故が起きる前に免許を返納するのも一つの手段です。 本記事では、高齢者の運転免許自主返納により受けられる支援制度を紹介します。シニアドライバーの方やその家族で、運転の卒業を検討している場合は参考にしてください。
運転免許証の自主返納によって受けられる支援
運転免許証の自主返納制度とは、シニアドライバーが有効期限の残っている運転免許証を自身の意思で返納する制度です。運転免許証を自主返納すると、運転経歴証明書が交付されます。 警視庁によると、運転経歴証明書は公的な身分証明書になるとともに、所有していると自治体や事業者が実施するさまざまな特典を受けられるようです。証明書により特典を受けられるのは、原則65歳以上の方なので注意が必要です。また、運転免許が失効していても、5年以内であれば運転経歴証明書を申請できます。 高齢者マークを付けた自動車をよく見かけますが、近年、多くのシニアドライバーが運転免許を自主返納しており、2022年では44万8476件の自主返納申請があったようです。そのうち、6割を75歳以上が占めています。 ※出典:内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン「運転が不安になってきたシニアドライバーやそのご家族へ 運転免許証の『自主返納』について考えてみませんか?」 免許返納を行い車のない生活を送ることに不安がある方に向けて、支援制度も設けられています。免許の自主返納を検討している方は制度を確認し、メリットがあるようなら活用を検討するといいでしょう。 以下では、警視庁「高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧」の内容を基に、各企業で行われている支援内容をご紹介します。 ■支援例1:交通での優待制度 運転経歴証明書の提示により、タクシーの運賃が割引になる制度を利用できます。基本的には、乗車料金が10%になるタクシー会社が多いです。すべてのタクシーで割引制度が利用できるわけではないため、あらかじめ利用できるタクシー会社をチェックしておくことをおすすめします。 ■支援例2:スーパーやデパートの買い物割引制度 運転経歴証明書を所有していると、スーパーやデパートでの買い物がお得になる制度も利用できます。優待クーポンの発行や、宅配サービスが無料になります。自動車の運転をしなくなる方にとっては、無料の配送サービスは便利といえるでしょう。利用できる店舗は限られているため、事前に確認しましょう。 ■支援例3:信用金庫のお得な定期預金制度 免許を自主返納して運転経歴証明書を受け取った方限定の、お得な定期預金を用意している信用金庫が多くあります。主に金利が通常よりもプラスになる制度です。通常よりも満期時の金額が大きくなるため、定期預金を検討している方は活用を検討しましょう。 ■支援例4:ホテルのサービス利用割引制度 ホテルの宿泊料やレストランやバーなどの利用料金が割引になる制度も利用できます。主に、宿泊料が5%割引、レストランやバーなどの利用料金が10%割引になる制度が多いです。定年後、時間に余裕があるときにぜいたくな息抜きをしたいと考えている方は、宿泊やサービスの料金がお得になる免許返納制度の利用をおすすめします。