省エネハウス普及へ雪国新潟の挑戦、住宅に65万、太陽光発電設備に31・5万円補助も 深層リポート
県は5年度から、県民向けに雪国型ZEHの導入に定額65万円、屋根への太陽光発電設備設置に31万5千円を上限に補助金を支給。同年度は、ZEHに72件、太陽光発電に41件の支援実績があり、今年度も申請を受け付けている。
今年4月からは、雪国型ZEHを設計、建設するプランナーやビルダーの登録制度をスタート。県ホームページで登録業者を紹介し、導入機会の拡大を狙う。
■新築2割をZEH化
知事は5月初旬、新潟市内にある雪国型ZEHのモデルハウス(木造2階建ての3LDK)を視察。「家全体の冷暖房を8畳用の家庭エアコン1台でできるというのはすごい。建て直しや住宅取得を考えている県民のみなさんには雪国型ZEHを意識してほしい」とアピールした。
県は中間目標として、2030(令和12)年度の温室効果ガス排出量の13(平成25)年度比46%削減を掲げる。これを実現するため、家庭部門では、毎年新築住宅1万1千戸の2割をZEH化することを目指す。
上村会長は「協議会がエンジンとなり、雪国型ZEHの普及拡大が進むと期待している。目標の2割より、もっと上を目指していけるのでは」と自信をみせている。
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ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 省エネ設備の導入や断熱性能の向上により住宅の消費エネルギー量を減らすとともに、太陽光発電や蓄電池を導入し、生活で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅のこと。光熱費を節約できるほか、室温を一定に保ちやすいため快適な生活を送れ、急激な温度変化による健康被害を防ぐ効果もある。地震などの災害時も電力を確保しやすいというメリットもある。
~記者の独り言~ 資源エネルギー庁の資料によると、令和4年度の全国の新築戸建て住宅でのZEH普及率は、注文、建て売りを合わせて22・8%。まだ4棟に1棟程度の割合で、家庭の二酸化炭素(CO2)排出量削減を進めるには、さらに普及を加速させる必要がある。冬を快適に過ごしやすくなるZEHは、新潟のような雪国で恩恵が大きいとされる。その恩恵をいかに県民に理解してもらい、導入してもらうか。行政の手腕が問われる。(本田賢一)