「僕中心の生活を支えてくれた」“元祖・山の神”トヨタ自動車九州の今井正人選手が家族に感謝…24年間の現役生活のラストはクロカン
大学時代に箱根駅伝、山のぼりの5区で大活躍し「元祖・山の神」と呼ばれているトヨタ自動車九州の今井正人選手。現役引退を先週発表し25日、最後のレースに臨みました。 【写真で見る】“元祖・山の神”…24年間の現役生活のラストはクロカン
ようやく掴んだチャンスが…髄膜炎にかかり欠場
トヨタ自動車九州、チーム最年長の39歳、今井正人選手。高校から本格的に陸上競技を始めて24年目です。順天堂大学時代に箱根駅伝の山のぼりの5区で大活躍し、「元祖・山の神」と呼ばれています。去年10月にはパリオリンピックマラソン代表選考会、MGCに出場したものの、直前のケガの影響もあり無念の途中棄権となりました。レースが終わって、今井選手は大きな決断をします。 今井選手「オリンピックで競技者として戦うことが自分の中のモチベーションでもあった。競技者としては成果も結果も求められる。自分がそういうところで戦えていないと強く感じたので、自分の中で(競技者として)ひと区切りなのかなと」 バルセロナオリンピックマラソン銀メダリスト・森下広一監督の指導を受けようと2007年、トヨタ自動車九州に入社した今井選手。駅伝では入社直後からチームの中心選手として活躍を続けると、2015年には東京マラソンで当時日本歴代6位となる2時間7分39秒をマークし、世界陸上代表に内定しました。 今井選手(当時)「これまで世界と戦いたいと言いながら10回マラソンを走ってきて、そのチャンスをようやくつかめた。海外勢と最後までトップ争いをできるような走りがしたい」 ところがその後、髄膜炎にかかり欠場を余儀なくされることに・・・マラソンで日の丸をつける夢は叶いませんでした。24年間戦い続けた今井選手が現役最後のレースに選んだのは、福岡県で開催されるクロカン日本選手権です。 今井選手「競技者としての最後のレースかなと考えている。しっかりいまの力を全て出し切って、これまでの経験も含めて、しっかり出し切れる大会にしたい」
監督が気づいた“心境の変化”「そろそろ考えているかな」
長年指導してきた森下監督は、MGCの前に今井選手の気持ちの変化に気づいたそうです。 森下監督「MGC走るんだよねっていう面談でその後の元旦(ニューイヤー駅伝)どうする?っていう話をして、そこまで体力が持っていないと思いますって言うから、珍しいなと思って。基本的に今井が辞めるっていうまではやらせようと思っていた。その話を聞いたときにそろそろ考えているかなというのはあった。マラソンの次にクロカンが今井は好きだったし、一番人が来てくれる大会で終われるというのは今井にとっても感謝する大会になると思うし、遅くても速くても今井らしい走りをしてくれたら、伝わるんじゃないですか、走りで」 今井選手「いまの自分自身の100%を出し切って、やりきったという思いでゴールラインをきりたい」 迎えた引退レース当日、今井選手のラストランを見ようと、たくさんの人が会場に集まりました。最後の勇姿を見届けるべく、家族もかけつけました。 妻・麻美さん「いつも通りでしたね、きょうも。でもきのう夕方最後の練習だと言って、最後だから家族で走ろうかと言って、家族で走りました。初マラソンが(2008年)の北海道マラソンだったんですけど、そのときから使っているもので、結構年季が入っていてボロボロなんですけど。どこから見ても目立つようにこの色にして、何回か作りかえようと思っていたんですけど、最後までこれで応援することになりましたね」 長男・秀馬くん「一番で、笑ってゴールするところが見たいです」 父・一秀さん「長い間走れたことが一番だと思う。スタートしたら最後まで諦めないで、結果がどうであれ頑張って最後までゴールできれば」