長期間受け入れ、オーダーメード日程…インターンシップも学生優位 売り手市場で多様化
企業でインターンシップ(就業体験)が多様化している。学生を長期間受け入れるタイプや、学生の都合に合わせてオーダーメードの日程を組むケースがある。学生優位の「売り手市場」が続く中、各社は業務や社内の雰囲気を深く理解してもらい、採用につなげる狙いがある。 【写真】広島銀行のインターンシップの一環で、金融教育の進め方を学ぶ高校生や大学生 広島銀行(広島市中区)は毎年1、2週間の長期でインターンシップ生を受け入れている。融資や営業の他、ライフプランの立て方や、取引先の事業性評価などの業務を伝えている。今年は14人が1週間、2人が2週間の日程に参加した。
「業務の幅広さを知った」
8月下旬は金融教育の進め方講座を開き、高校生と大学生の計7人が参加した。このうち大学生2人は2週間のインターンシップ生。関西学院大3年長町学徒さん(21)は「銀行員の仕事は融資と営業のイメージしかなかった。業務の幅広さを知った」と話す。広島市立大3年半角優奈さん(20)は「長期だと食堂などで社員が話しかけてくれるので会社の雰囲気が感じられる」と受け止める。 人事企画課の杣川(そまがわ)義之介担当課長は「単なる職業紹介で終わらず、企業にとっても自社を幅広くアピールできる」と手応えを感じる。
オーダーメードで受け入れ
オーダーメードでインターンシップ生を受け入れているのは物流業のクボックス(西区)。学生に希望の日程や興味のある仕事を聞き、個別のプログラムを組む。商品管理や運転手、総務などさまざまな職種がある中、学生ごとに希望を把握しやすい。日程は1、2日間が多いが5日間を希望した学生もいたという。 同社は「興味がある仕事を積極的に学ぼうという学生の主体性も分かる」と利点を説明する。 売り手市場の様相は強まる傾向にある。リクルート(東京)の研究機関、就職みらい研究所によると、9月1日時点の大学生の就職内定率は94・2%で、前年同期を2・7ポイント上回った。 新卒採用に苦労する企業が多い中、行政は学生に地域の企業を知ってもらう取り組みに力を入れている。広島県は学生が複数の県内企業を訪ねる事業を3年前から進めている。市町ごとに3、4社ずつ回る内容で、業種は製造や建設、宿泊など幅広い。 県雇用労働政策課は「インターンシップは有名な企業に偏る傾向がある。学生が地域の企業を知るきっかけにして、県内就職を増やしたい」としている。