波紋呼ぶソフトバンクの大量戦力外と大型補強 「愛される球団」には「生え抜き」の尊重が必要
■「大型補強を生え抜きの選手たちはどう感じるか」 スポーツ紙デスクは、「気になるのは大量の戦力外と大型補強のバランスです。大金を払って獲得した外様の選手たちでチームの骨格を固めると、生え抜きの選手たちはどう感じるか。『大切にされていない』と感じたら、チームに不可欠な選手たちも他球団に流出してしまう」と指摘する。 12球団で総額年俸がトップのソフトバンクは、オスナが昨オフに4年総額40億円の契約を結んでいる。推定年俸10億円は12球団で断トツだ。チームの年俸2位は生え抜きの柳田悠岐の5億7000万だが、3位以降は近藤健介の5億5000万円、有原航平の5億円、山川穂高の3億円と「移籍組」が続く。今オフにFA権の行使が注目される甲斐拓也は推定年俸2億1000万円、石川柊太は1億2000万円。両選手は他球団の評価が高く、FA権を行使すれば移籍の可能性が十分に考えられる。 ソフトバンクOBは、警鐘を鳴らす。 「他球団の主力選手を補強することが決して悪いと思いません。山川は4番で2冠王を獲得し、近藤は首位打者を獲得、有原も14勝で最多勝をマークした。ただ、生え抜きの選手を大事にしなければ強さが持続しません。今季限りでの引退を発表した和田毅さんが、昨オフにFA移籍した山川の人的補償で西武に移籍するのでは、とメディアで報じられましたが、もし長年チームに貢献してきた和田さんをプロテクト枠から外していたとしたら、あり得ない。強ければいいのではなく、ファンに愛される球団になってほしい。そのためには生え抜きで支えてきた選手へのリスペクトを忘れてはいけません」 来季はリーグ連覇、今年つかめなかった日本一を目指すソフトバンク。巨大戦力は間違いなく12球団トップクラスなだけに、移籍した主力選手と伸び盛りの若手らをどう融合させるか。小久保裕紀監督の手腕が問われる。 (今川秀悟)
今川秀悟