波紋呼ぶソフトバンクの大量戦力外と大型補強 「愛される球団」には「生え抜き」の尊重が必要
金の卵たちを数多く獲得し、チーム内の熾烈な競争でふるいに掛ける。大化けした一握りの選手が成功するソフトバンクのシステムは、確かにメジャーのチーム作りと重なる。 育成契約で入団し、侍ジャパンに活躍する選手にまで飛躍した千賀滉大(現メッツ)、甲斐拓也、牧原大成、周東佑京はその代表例だろう。石川柊太、大関友久、尾形崇斗、緒方理貢、川村友斗も育成契約からはい上がった。救援、先発で活躍し、今年は最優秀防御率のタイトルを獲得したモイネロも育成枠で入団している。 ただ、ソフトバンクの1軍の選手層は厚い。ファームで結果を残しながら、1軍で十分な機会を与えられていないと割り切れない思いがある選手もいるだろう。セ・リーグの他球団に育成枠で入団し、支配下昇格した選手はこう語る。 「ソフトバンクの育成枠は、他球団の育成枠と意味合いが全く違います。施設など環境は充実していますが、選手が大量にいるので生存競争が非常に激しい。1軍のレギュラーが固まっているのでなかなか昇格できないですが、2軍の試合を見ても凄い選手がゴロゴロいます。他球団にいけば活躍できるのにもったいないなあと感じることがありました。一度支配下昇格して、育成で再契約というのはモチベーションを維持する部分でもきつい。リスクはありますが、自分の力に自信があるならソフトバンクを退団し、他球団から獲得オファーを待つというのもありだと思います」 ソフトバンクで1度も1軍に昇格できなかったが、他球団でブレークするケースもある。昨オフに現役ドラフトで日本ハムに移籍した水谷瞬は、ソフトバンクで1軍経験ゼロだったが、環境を変えて素質を開花させた。日本ハムで1軍に昇格すると、セ・パ交流戦で史上最高打率.438を記録してMVPを獲得するなど、97試合出場で打率.287、9本塁打、39打点、4盗塁をマーク。来季以降も中心選手として活躍が期待されている。