地球に似ていても色は違う? 植物が生息する太陽系外惑星の色を予測した研究
宇宙から地球を見ると、植物に広く覆われた陸地が緑色に見えます。この緑色は植物の光合成を支えるクロロフィル(Chlorophyll、葉緑素)と呼ばれる物質と関係があります。植物の葉などに含まれているクロロフィルは太陽光を吸収する役割を果たしていますが、緑色の光は吸収されにくく、葉から漏れ出た緑色光を私たちの目が捉えることで植物は緑色に見えるのです。 今日の宇宙画像 しかし、植物のように光合成を行う生物が繁栄している太陽系外惑星も緑色に見えるのかというと、そうとは限らないようです。コーネル大学の博士研究員Lígia Fonseca Coelhoさんを筆頭とする研究チームは、光合成生物が存在する系外惑星の色は地球とは異なる可能性を示した研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文はMonthly Notices of the Royal Astronomical Society(王立天文学会月報)に掲載されています。
私たちの身近な光合成生物は植物ですが、地球上の光合成生物はそれだけではありません。たとえば紅色細菌と総称される紅色硫黄細菌(Purple sulfur bacteria)や紅色非硫黄細菌(Purple non-sulfur bacteria)は植物のクロロフィルと同様に太陽の光エネルギーを吸収するバクテリオクロロフィル(Bacteriochlorophyll)を持っていて、光合成を行う光合成細菌の一種として知られています。 ただし研究チームによると、可視光線の青色光や赤色光を吸収しやすい植物のクロロフィルに対して、バクテリオクロロフィルは低エネルギーの赤色光や赤外線を吸収しやすいといいます。ここでCoelhoさんが投げかけるのは「これらの細菌が、緑色をした植物や藻類などと競合していなかったらどうなっていたでしょうか」という疑問です。系外惑星は太陽よりも小さくて軽い赤色矮星(M型星)の周囲でも数多く見つかっていますが、赤色矮星には可視光線よりも赤外線を強く放つという特徴があります。地球の植物は太陽光の下で進化してきましたが、赤色矮星が空に輝く系外惑星の環境は赤外線を利用する生物にとって有利に働くかもしれません。