設備投資14期連続増、景気の緩やかな回復示唆-日銀早期利上げ観測続く
(ブルームバーグ): 財務省が2日発表した法人企業統計(速報値)によると、7-9月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資は14四半期連続でプラスとなった。日本銀行が経済・物価の改善に応じて緩和度合いを調整する方針を示す中、市場では早期の利上げ観測が継続しそうだ。
設備投資は前年同期比8.1%増と前期から伸びが拡大。市場予想では6.7%増が見込まれていた。9日発表の国内総生産(GDP)改定値に反映されるソフトウエア除くベースでは同9.5%増と、市場予想(8.2%増)を上回った。前期比では0.8%増だった。
法人企業統計はGDPの改定値を算出する際に使う材料の一つ。速報値段階の7ー9月期実質GDPは個人消費が押し上げに寄与する形で2四半期連続のプラス成長を示した。今回の結果は景気が緩やかに回復していることを改めて示唆しており、追加利上げの時期を探る日銀の想定に沿う内容と言える。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、全体として設備投資は堅調に推移しており、GDPも全体でプラス成長を維持すると分析した。物価動向と合わせても日銀は12月に追加利上げができる状況だとした上で、「今回の統計結果でその判断が揺らぐことはない」との見方を示した。トランプ次期米政権誕生後は政策リスクが高まるとも指摘し、日銀は「待たないと思う」とも述べた。
設備投資は、製造業では情報通信機械や輸送用機械で伸びた。非製造業は運輸業・郵便業やサービス業が貢献した。
7-9月期の全産業の経常利益は前年同期比3.3%減と7期ぶりに減少した。市場予想は9.3%増が見込まれていた。財務省の説明によると、輸送用機械で海外販売の競争激化や研究開発費の増加、石油・石炭で原油価格の下落が影響し、減益となった。一方、売上高は2.6%増と14期連続のプラスだった。
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Takashi Umekawa