タイムセールに飛びつく人は「本当のお金持ち」になれない…節約好きがホイホイはまる"年末年始の落とし穴"
フィッシング被害が増えている背景には、コロナ禍をきっかけにネット購入が増えたことや、キャッシュレス決済へのシフトが進んだ影響などがある。もう一つ、気になっているのが「ポイント経済圏」の増加だ。ドコモやau(KDDI)、ソフトバンク系のPayPayなど通信系が力を入れているのはご存じの通り。それも、ポイントそのものというよりも、カードの利用を促す方向に軸が移っている。 ■「お得ですよ」と言われても無視がベスト 元祖経済圏の楽天は言わずもがなだが、ドコモのdカード、auPAYカード、PayPayカードなどを作ってもらい、スマホ決済アプリに紐づけることでよりオトクにポイントがたまりますよとアピールを強めている。2024年にリニューアルしたVポイントも、元々は三井住友カードの決済で付与されるポイントだ。 複数の「経済圏」に参加し、お得にポイントをためようとすれば、より多くのカードを持つことにつながる。おまけに銀行のキャッシュカードもデビット一体型カードが多くなり、ますます枚数が増えていく。保有するカードが増えれば増えるほど、そのブランドをかたるフィッシングメールをうっかり開いてしまう危険性も増すだろう。 節約のセオリーでいうなら、カードはメインとサブの数枚に絞ったほうが効率はいい。使っていないカードは解約してしまえば、偽メールが届いてもうっかり惑わされずに済む。不正利用が心配な人は取引通知メールを登録したり、あえて手数料を払って確認しやすい紙の利用明細を受け取るのも対策になるだろう。 残念ながらフィッシングの手口は進化し続け、今後はますますAIが悪用されるに違いない。人間の「絶対に損したくない」という心理をどのようにくすぐれば騙せるのか、着々とAIが学んでいると思うと気が抜けない。筆者はこれまで様々なメディアを通じ、消費者がお金を損しないために、「オトクですよ」という文言を見たら警戒しましょうと伝えてきたが、メールも同じ。本物であれ偽物であれ、無視したほうが身のためだ。 ---------- 松崎 のり子(まつざき・のりこ) 消費経済ジャーナリスト 『レタスクラブ』『ESSE』など生活情報誌の編集者として20年以上、節約・マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析してきた経験から、「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。著書に『定年後でもちゃっかり増えるお金術』『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない 』(以上、講談社)ほか。 ----------
消費経済ジャーナリスト 松崎 のり子