元宝塚男役スター・七海ひろき、公演中に大階段「落っこちました」ハプニング語る――照明さんの機転に感じた「舞台は総合芸術」
元宝塚歌劇団・男役スターの七海ひろきさん。ターニングポイントとなった作品だという『風と共に去りぬ』では、公演中に大階段からずり落ちてしまうハプニングがあった。苦い体験を経て舞台の中心に立つ責任感を改めて感じたという七海さんに、熱烈な宝塚ファンで日本テレビアナウンサーの安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が迫った。 【映像】「強い信念を持って」~音楽学校に“七海ひろき”はいなかった? <七海ひろきさんプロフィール> 茨城県水戸市出身。1月16日生まれ、2003年に89期生として入団。宙組に配属後、星組に組替えとなり、男役スターとして大活躍。2019年の退団後は俳優、声優、アーティストなど挑戦を続けている。
■役替わりの『風と共に去りぬ』で…
(安藤アナ):宙組と星組合わせて16年在籍。その中で、ターニングポイントとなった作品はありますか。 (七海さん):ターニングポイントは『風と共に去りぬ』です。それまでもちろん、舞台に立つ上でできることを精一杯やろうと思っていたのですが、この作品で初めて、大きなものを背負って立つのだということ、作品に対する責任感を感じましたね。 スカーレット・オハラとルネという役の役替わりでした。初めての役替わり公演で、稽古場も本番ももう大変でした。それまでに女役をやったこともあったのですが、スカートもそこまで長いものではなかったので、まだお芝居に集中できた。ただこの役では(長いスカートの)裾を踏んでしまうとか、大階段を上るとか段取りが大変。私はそんなに器用ではないので。初日の前日はやることをシミュレーションしなきゃいけないので大変でした。 (安藤アナ):(男役と女役では)所作が違いますものね。 (七海さん):もう全然真逆のことをするので。特にドレスで大階段を上るというのは、やったことがなかった。すべての女役さんを心から尊敬しましたね。 (中島アナ):ハプニングもあったんですよね。 (七海さん):そうなんです。デュエットダンスで、長いドレスで大階段を上り下りをするというシーンがあった。とにかく階段を行ったり来たりするんですよ。ある公演で階段を9段ぐらいザザザザーっと落っこちました。 もうその瞬間、何が起こったのかわからない。「え? え?」という感じになって気付いて上っていったんです。そこで落ちた瞬間に照明さんが機転をきかせて、照明を消してくれていたんです。私が落ちている瞬間、ライトが当たらないように。だから、落ちている瞬間はライトが当たらない状態で、上まで上った時にまたライトをつけてくれたということがありました。 本当にすごいなと思いました。だって落ちるなんて予想できないじゃないですか。なのにその瞬間にガッと(照明を)下げてくれた。その時の私、どんな感じになっていたんだろうと公演直後にモニターを見に行ったんですが、本当に真っ暗になっていて。舞台が総合芸術だということを改めて感じました。