IR研究は「西高東低」 ── 東京のIRセミナーを大阪商業大学研究所が主催
米国の有力研究者を招いたIR(統合型リゾート)セミナーが26日、東京で開かれる。主催は大阪商業大学アミューズメント産業研究所(大阪府東大阪市)。IRはカジノを中心に、ホテルやレストラン街、国際会議場、ショッピングモールなどを含んだ複合型観光施設を示す。経済活動や文化創造などで東京一極集中に歯止めがかからないものの、成長性が期待されるIR研究は大阪が拠点、「西高東低」だ。 【拡大写真記事】IRマネジメントコース新設の大商大大学院・谷岡学長
大阪商業大学がIR研究の拠点
このセミナーは「カジノ・デベロップメント&マネジメント講座」。大商大アミューズメント産業研究所が年に1回ペースで開催し、4回目を迎えた今年のテーマは「日本版カジノ―そのあるべき姿―」。次期通常国会でのIR法案の行方に注目が集まる中、タイムリーなセミナーとなりそうだ。 セミナーにモデレータ(司会進行)として参加する藤本光太郎同研究所研究員(地域政策学博士)が、次のように話す。 「IRに関する海外の研究者や専門家を招へいし、IRの先進事例を学び課題を討議するのが、セミナーの特色だ。日本ではIR研究はいまだ輸入学問の要素が強く、日本語で書かれた文献も少ない。そんな中、谷岡一郎大商大学長が、1980年代からカジノ研究に取り組んできた実績は、内外で高く評価されている。谷岡学長率いる大商大がIR研究の拠点となっており、IR研究は『西高東低』といってよい」
IR開業で1万5千人の雇用創出
セミナーでは米国の専門家2名が講演。元ネバダ州立ラスベガス校教授で、カジノ法研究の第一人者であるアンソニー・カボット弁護士が、諸外国におけるカジノ法の歴史や現状を解説する。 続いて、アラン・フェルドマン全米賭博依存症問題協議会会長が、米国での賭博依存症問題への対処法を報告する。ふたりの講演のあと、それぞれ日本の専門家が合流してパネルディスカッションを開き、日本版カジノの理想モデルをさまざまな角度から探る。 産業界からは地域振興や雇用創出の観点から、IRへの関心が高まっている。 「IRがオープンすると、ひとつの都市が生まれると考えてもらえればいい。客室5000室のホテルを中心とするIRでは、1万5千人の雇用が新たに創出される。職種もパートタイマーを含めると800種類におよび、幅広い人材が能力に応じて働ける。レストラン街では、さまざまなジャンルの飲食店が100店舗ほど必要になるし、5000室の客室の彩る生花を、毎日調達できる仕組みを工夫しなければならない」(藤本研究員) 従来の工場誘致などと異なり、IRの誘致効果は業種を越えて地域全体に広がりそうだ。