シリアの「脱独裁」疑問視 現在も弾圧横行 人権監視団代表
【カイロ時事】シリア国内で独自の情報網を持つ在英のNGO、シリア人権監視団のラミ・アブドルラフマン代表は6日、時事通信のオンラインでのインタビューに応じ、シリア暫定政府の実質的な指導者シャラア氏は元来「独裁者だ」と強調。 【ひと目でわかる】シリアの勢力図 現在もシリアで弾圧が横行していると指摘し、暫定政府による宗教・民族融和路線の推進を疑問視した。 1カ月前のアサド政権崩壊後、旧反体制派の暫定政府は政治犯として逮捕されていた多くの人々を刑務所から解放した。シャラア氏は少数派や女性の権利を尊重する姿勢を示し、強権的なイスラム過激派というイメージの払拭を図っている。 しかし、アブドルラフマン氏は、暫定政府を主導するシリア旧反体制派の主力組織「シャーム解放機構」(HTS)がアサド政権崩壊前から支配していたシリア北西部の刑務所は、かつて抗議活動への参加などHTSに反抗して捕らえられた人々で「満杯だ」と指摘。暫定政府メンバーが旧政権の基盤だったイスラム教アラウィ派の人々を殺害する事例が相次いでることを挙げ、国内外に向けた「(暫定政府は穏健派だという)プロパガンダ」の陰で抑圧が続いているとの見解を示した。 アブドルラフマン氏は、こうした人権侵害が続く中では、宗教・民族対立が続く「シリアの統合はない」と断言。暫定政府の閣僚にイスラム教スンニ派のイスラム主義者が多く登用される状況が続けば「シリアはイスラム法に基づく国家になるだろう」と述べ、民主化推進は難しくなると警告した。