偏差値60超の進学校!山梨県の公立進学校が甲子園を目指して「狙いや目的といった内発的な動機付けをもって練習をやる」
前十字靭帯損傷の大けがを乗り越えて
そんな甲府一で指揮を執る保坂監督。課題は精神力というように考えているのは、自身の大学時代の経験も関係しているという。 「大学は、大阪体育大に進んでソフトボールに所属していたんですけど、最初はビックリした部分がありましたね。周りは関西出身の選手ばかりで、関西弁が当たり前で言葉がきつくて、なおかつがっつく姿勢というか、試合に出られないことが悔しいとか、負けたら恥ずかしいとか。関東にはない感じで、戦うマインドを知るきっかけになったと思います」 そうした環境にいたおかげか、2年生の秋に「自分がキャプテンになって、チームを変えよう」と先輩がいるにもかかわらず、キャプテンに就任。当時3部にいたチームを、1年後には1部に昇格させる功績を残したという。 ただ自身は選手としてはほとんど貢献することはなかった。 「主将になって最初のリーグ戦で、膝の前十字靭帯断裂で、歩行できるまでに3か月かかりました。 金本(知憲)さんを手術した先生に治してもらって、最初は車いすから始まって。松葉杖と段階を追ってでしたけど、親に何回か来てもらったり、同じケガで苦しむ仲間と時間を過ごしたりする中で、『野球を普通にできることは当たり前じゃない』って気づいて。だから今も技術指導も大事ですけど、そういった経験を伝えることも大切だと思って指導しています」
実は田中主将も、中学3年生の夏に右肘を手術した。野球肘になり、「手術して治さないとダメだね」ということで、メスを入れた。2週間の病院生活、さらにはリハビリも重ねて。ボールを投げられるようになったのは年末あたり。 ただケガで苦しんだ分、「野球はやらないかもしれない」とモチベーションは下がっていたと言う。それでも、「同級生や先輩のおかげで野球が楽しくなって、本気でやりたい」と再び情熱を取り戻し、グラウンドに帰ってきた。 先輩たちの代から主力として貢献し、夏のベスト8も経験した。そうした点も含めて「感謝しかない」と保坂監督同様に野球に対するありがたみを感じている。だからこそ、「自分でやるにしても、やらされるにしても、心を1つにして全員で取り組んでいけばいい練習をすることができると思います」と精神力の重要性を語った。 長い冬場、モチベーションを維持するのは簡単ではない。それこそ精神力が求められる時期だが、ここを越えた時に、保坂監督が話すような覚悟を持てれば、甲府一は再び上位進出となるだろう。