お茶どころ静岡県 産出額首位キープ 23年223億円 30年で4分の1に縮小
農林水産省は24日、2023年の農業産出額統計を発表し、静岡県の茶は前年比8・6%減の223億円で、214億円(8・5%減)の鹿児島を抑えて4年連続で全国1位を保った。ただ、営農コストが高止まる中でも、国内消費の低迷を背景とした販売単価の伸び悩みが続き、生産現場に重くのしかかっている。 茶の産出額は生葉と、生葉を製品の前段階で加工・乾燥させた荒茶の合計販売額。静岡県は生葉が120億円(9・0%減)、荒茶103億円(8・0%減)といずれも前年割れ。鹿児島も生葉140億円(9・0%減)、荒茶74億円(7・5%減)と落ち込み、ともに厳しい生産・流通状況を反映する結果となった。 23年の静岡県茶生産は、一番茶の摘採期に冷え込みが襲った影響などで大幅な減産に。生産量は前年比4・8%減の2万7200トンと過去最低水準だった。市場取引では、小口で慎重な仕入れが目立ち、単価は前年並みにとどまった。 静岡県の茶産出額は1992年の862億円をピークに30年で4分の1に縮小した。一方、リーフ茶需要は国内こそ低迷しているが、海外では抹茶や有機茶などが伸長著しい。24年緑茶輸出額は過去最高の300億円超えが確実視されている。 県は、茶業振興策として輸出拡大の方針を前面に打ち出し、「静岡茶の統一ブランド化」などを進める。県お茶振興課の佐田康稔課長は「官民の垣根を越えた協働が重要。出口戦略とともに生産支援にも注力していく」と話す。
静岡新聞社