iPS細胞医薬で経営再建へ 住友ファーマ、木村新社長
住友ファーマの社長に6月就任した木村徹社長(64)が5日までに共同通信のインタビューに応じ、2年連続の赤字で悪化した経営の再建へ、人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の細胞医薬事業を柱の一つに据えるとした。木村氏は再生医療の研究開発に長く携わったことでも知られる。 主力の抗精神病薬の特許切れが響き2024年3月期連結決算の純損失は3149億円。木村氏は「ホームラン級の薬を狙いすぎ、投資も大きくなってしまった」と振り返り、地道な新薬開発で立て直す方針だ。 iPS細胞を由来とする神経細胞を活用した、パーキンソン病向けの細胞医薬品の開発を進めている。「全く新しい製品で根本治療に近い改善が期待される」とし、24年度中に、国内での製造販売に向け条件および期限付きの承認取得を目指す。事業化を加速するため、親会社の住友化学と合弁で、細胞の生産拠点を増やす方針も示した。 国内の従業員を対象とした700人の早期退職募集については「避けては通れず決断した」と述べた。国内正社員の約4人に1人を削減する。