俳優・窪塚洋介が語る、「年齢を重ね、自分を幸運にする力も鍛えられてきた」
WOWOWとハリウッドが共同制作するドラマ『TOKYO VICE』は、1990年代の東京を舞台に、初の外国人記者として新聞社に採用されたジェイクが、裏社会の闇を暴いていく物語。Season2で窪塚洋介さんが演じるのは、東京を牛耳る千原会の若頭で、出所してきたばかりの葉山。インタビュー後編では、現場で学んだことや、人として役者として、普段から心がけていることをうかがいました。 【写真を見る】歳を重ね、唯一無二の存在感を見せる俳優・窪塚洋介
――『TOKYO VICE』だけでなく、海外の現場で仕事するなかで、改めて気づかされる日本の情景・文化というものはありますか? なにげない部屋のシーンでも、日本人が撮るものとまったく印象が違うのはなぜなんだろう、と考えたときに、いちばんの違いは撮影監督がいるかどうか、なんですよ。撮影監督というのは、物語の流れや役者の演技などではなく、「観る人の目にどう映るか」――つまり映像の細部をつかさどる人のこと。なかでも大事なのが照明で、あそこは当たりすぎている、ここは切っておこう、みたいな調整を行うんです。 ――私たちが想像する、いわゆる「監督」とは違うんですね。 ちがうけど、監督と同じくらいの責任を担っています。もちろん、編集の権限は監督にあるけど、現場にツートップが存在していることで、全体のバランスがよくなるんですよね。で、その撮影監督の視点に、海外らしさというのが出てくるのだと思う。 ――その点、『TOKYO VICE』は、ハリウッドらしい絵づくりがありながらも、東京の映し出され方に日本人が観ていてもあまり違和感がないですよね。 今作は、日本人の助監督もスタッフもいましたからね。たとえばクラブのシーンで、背景に映り込む人たち……掃除をしている人やグラスを運んでいる人たちの動きにも、丁寧に指導を入れていました。そのあたりのリアリティは徹底していたように感じます。あと、日本では一度セリフを噛んだら中断してやりなおすんだけど、そのまま続行したり、何回か言わせてみたり、って手法をとっていて。それが海外のスタンダードってわけではないんだろうけど、ロンドンの現場でも同じことがあったから、現場によってやり方は違うんだな、と改めて思いました。その都度、ちゃんと慣れていかないとな、って。 ――作品全体の雰囲気が重いぶん、現場の雰囲気も……。 軽かったです(笑)。まあ、元ヤクザのエキストラの人たちもいるから、重厚感はあったけど。