【レバー焼き&からあげ&チキンカツ】新鮮朝採れレバー焼きを豪快にほおばる「至福の阿佐ヶ谷丼」:パリッコ『今週のハマりメシ』第124回
ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。 【画像】温玉をとろ~り それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。 そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。 * * * 最近、日に日に春の気配が増してきたなぁと思っていたら、急に寒い。雨の阿佐ヶ谷、午後2時。なにか温かいごはんを食べつつ、なんなら軽く一杯やりたい。そんなことを思うにやぶさかでないシチュエーションだ。北口側のスターロード周辺をぶらりと歩いてみる。たまに来るたびに感じることだけど、阿佐ヶ谷や高円寺の街並って、僕が20代くらいのころ、狂ったように飲み歩いていた時代の空気感がいまだに残っている。再開発で駅周辺の景色がまるっきり変わってしまった街も多いなか、嬉しいことだ。 そんなふうに歩いていたら、真新しそうに見える1軒の飲食店を見つけた。 「阿佐ヶ谷ダイニングキッチン」という店らしい。阿佐ヶ谷にあるダイニングキッチンだから、阿佐ヶ谷ダイニングキッチン......なんて潔いネーミング。そして看板にあるのは「定食」「美味しいおかず 美味しいお米」という、これまたシンプルな主張。近年気づいたことだが、僕はこういう、個人店っぽいのに、店名や店舗のしつらえにあまりこだわりがなさそうな店に、妙に弱いのだった。 だって、もし自分が新しく店を始めるとしたら、たとえば「パリちゃんキッチン」(めっちゃださいけど)とか、どうしたって自己主張を入れたくなってしまう。それをしないのはなぜなのか? もう、すでにこの店のことが気になりすぎている。 店頭のメニューを確認し、その気持ちは頂点に達した。 まず、意外にもとんこつラーメンメニューがどーんとあって、続いて全体的に茶色の圧が強い定食類に、どんぶりものに、オムライス。一見脈略がない。けれど、ラーメンならごはん1杯か替え玉1玉が無料だったり、定食系メニューはごはん1杯おかわり無料だったり、見れば見るほど迷ってしまうセットメニューが豊富だったりと、全面的に「うちは安くてうまいものでお客さんにお腹いっぱいになってほしいんだよ!」というメッセージを強く感じる。同時に「店名なんて、わかりやすきゃいいんだよ!」とも。 以上、すべて僕の想像ではあるけれど、もはや入る前からこの店が好きなので、当然入店。 税込み300円というリーズナブルさがありがたい「チューハイ」が、缶の氷結というのもこの店らしくていい。「これなら誰も文句ないっしょ?」っていう。本体もジョッキも信じられないくらいに冷えていて、氷ギッチリだからこれで2杯ぶんはとれるな。嬉しい。 メニュー選びも大いに迷ったけれど、定食やどんぶりにある「朝採れレバー」ものが特に気になる。となると、850円とリーズナブルな「朝採れレバー炒め丼」か? いや待てよ、その下にある「至福の阿佐ヶ谷丼」なるゾーンに、レバー焼きが入るバージョンがあるぞ。なんと、レバーに加えて、からあげ、チキンカツ、温玉までのって1050円。お得すぎるし、飲めすぎること間違いなし。「至福の阿佐ヶ谷丼 レバー焼き」で決まりだな。
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