生後すぐアレルギー判明も母が工夫…“高校通算48本塁打”中日のドラフト3位・森駿太 188cm93kgの体に家族の愛情
◇新時代の旗手2025~ドラフト3位・森駿太 12月14日。金びょうぶの目の前で森は力強く宣言した。「自分の魅力は、この大きな体を使った長打力。将来的には毎年ホームラン王を取れるような打者になりたい」。ドラフト同期の大学生や社会人と並んでも、ひけを取らない188センチ、93キロの立派な体には、家族の愛情が詰まっている。 2006年のクリスマス。森家の長男(第2子)として生を受けた。予定日より1週間早く生まれたのに、3958グラムの大きさだった。 生後1週間が経過したころ、判明したのはアレルギー体質。検査すると、小麦、牛乳、卵、ピーナツ、大豆が引っかかった。口にすると体中にじんましんが出て、体調を崩す。「何が入っているか分からないものは食べられない」。幼少期の森には、家族で外食に出かけた記憶がなかった。 口にできる食材が限られる森のために、母・美幸さんは料理に工夫を凝らした。最も時間をかけたのはパン。「国産小麦は食べられた」という息子に食べさせようと、丸一日かけて生地づくり。一から作ったクリのジャムを添えた美幸さん特製「クリジャムパン」は森のお気に入り。愛情たっぷりの料理と、小学6年まで午後8時30分に布団に入るルールを守り続けた少年の背は毎年7、8センチずつ伸びていった。 野球は小学1年で始めた。バスケットボールと野球の体験会に参加し、「バスケは人が多くて全然ボールに触れなかった。野球はずっとキャッチボールできて楽しかった」と選んだ。各カテゴリーでは中心選手で、米大リーグパドレスの松井裕樹を輩出した神奈川の名門・桐光学園高でも1年春からベンチ入りした。 プロを目指すきっかけは高1の冬。05年夏の甲子園出場メンバー・増田仁コーチから「それだけ立派な体を持っている。プロを志望して勝負してみないか」と声を掛けられた。「真剣にプロを目指してみよう」と練習に打ちこんだ。甲子園出場は果たせなかったが、高校通算48本塁打を積み上げた打撃が評価され、プロへの道をこじ開けた。 「いろんな人に支えてもらいました。特に母はアレルギーが多い僕のためにいろいろと献立を考えてくれた。本当に感謝しています」。目指すは本塁打王。竜のスラッガーへと駆け上がっていく。
中日スポーツ