新橋の繁華街に《白骨遺体》...2020《五輪開催》に浮かれる日本を震撼させた「新橋の白骨死体事件」に迫る!
今Netflixで話題の「地面師」...地主一家全員の死も珍しくなかった終戦直後、土地所有者になりすまし土地を売る彼らは、書類が焼失し役人の数も圧倒的に足りない主要都市を舞台に暗躍し始めた。そして80年がたった今では、さらに洗練された手口で次々と犯行を重ね、警察組織や不動産業界を翻弄している。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 そのNetflix「地面師たち」の主要な参考文献となったのが、ノンフィクション作家・森功氏の著書『地面師』だ。小説とは違う、すべて本当にあった話で構成されるノンフィクションだけに、その内容はリアルで緊張感に満ちている。 同書より、時にドラマより恐ろしい、本物の地面師たちの最新手口をお届けしよう。 『地面師』連載第25回 『「マニキュアで指紋を消せ」用意周到すぎる犯行でも、《逮捕》...地面師グループの主犯たちが気づかなかった《なりすまし役》の致命的すぎる性格』より続く
新橋の「地面師を生む土壌」
慶応4(1868)年に布告された「五箇条の御誓文」に基づき、新政府が東京に置かれ、幕藩体制に代わり明治帝を頂きとする国づくりが始まった。農業に依存してきたそれまでの経済から西洋の工業化を取り入れようとした政府は「文明開化」の旗印の下、まず鉄道の敷設に取り組んだ。明治維新から5年目の1872年、新橋、横浜間の東海道本線が開通した。東京駅より先に新橋駅ができたのである。ちなみに横浜駅は現在の位置ではなく、桜木町駅付近に建設された。新橋は老舗企業の本社が置かれた銀座に隣接し、文字どおり勤め人が集う交通の要所として栄えてきた。 戦中、日本の主要都市が米空軍の爆撃によって焼き尽くされ、家屋や土地の持ち主が雲散霧消する。戦後、そこは利権の渦まく一種の草刈り場になった。その典型が新橋だった。 東京中の官公庁が機能を失い、不動産の所有者が判然としない。戦後の闇市の多くは、それこそ縄を張って商売を始めたものだ。占領軍は治安の乱れに関心を示さないどころか、そこに乗じて悪さをした。警察が機能するはずもない。住人は銀座警察と称された住吉会をはじめとした現在の暴力団組織に頼るほかなかった。 暴力と利権が渦巻き、カオスと化した新橋には、地面師を生む土壌があったのかもしれない。操車場や貨物駅のあった現在の汐留地域ではなく、機関車の展示されている西口前は、今も得体の知れない不動産ブローカーや事件師たちがたむろする。事件は、JR新橋駅にほど近い歓楽街の一角で起きた。 2016年10月19日午前11時半、警視庁愛宕署の捜査員が女性の遺体を発見した。それまで噂の域を出なかった新橋の地面師事件が、そこから確定的な話となる。
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