「胴上げ投手」ビューラーの心意気、言葉力…ドジャースファンに愛された右腕、レッドソックスへ
ドジャース生え抜きのビューラーがロサンゼルスを去ることになった。FAの30歳はレッドソックスと1年総額2015万ドルで合意すると、米メディアが一斉に報じた。2015年に名門ヴァンダービルト大からドラフト1巡目で入団し、17年にメジャーデビュー。2度、右肘にメスを入れるなど怪我にも泣かされたが、大舞台で輝き、ロサンゼルスのファンに愛された。 結果的にドジャースの集大成となったのが今ポストシーズン、ワールドシリーズ第5戦。「世界一」を決める瞬間にマウンドに立った。救援が足りなくなる展開で、2日前に先発したばかりのビューラーがロバーツ監督に志願した。「準備はできている」。予想もしていなかった指揮官だが、「ビッグゲームピッチャー」の心意気にかけた。そして、後世に語り継がれるシーンは生まれた。ビューラーが得意のナックルカーブでリゾのバットが空を切り、頂点に立った。 やんちゃな面や斜に構えるところもあるが、地元紙LAタイムズの名物コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者は「彼の言葉は面白い」と話すなど米記者からも愛された。今年9月のエンゼルス戦で、大谷翔平が歩かされてベッツがダメ押し3ランを放ったときは「7億ドル稼ぐ男を歩かせて、3億5千万ドルの勝負とは厳しい状況だね。ベッツも、かなりいい選手だ」と笑いを誘ったこともあった。 19年に14勝、21年に16勝。かつては真っ直ぐで勝負という投手だったが、2度目のトミー・ジョン手術明けの今季は以前のイメージとのギャップに苦しんだ。球速が落ち、真っ直ぐ勝負は捉えられた。しかし、ポストシーズンではツーシームやカットボール、緩いナックルカーブも巧みに使った新たなスタイルを掴んだようにも見える。自信は揺らいでいない。「ここでも、どこでも、自分はメジャーの先発だと感じている」 「自分は寒いところで投げるのが好きだ」と語っていた。温暖なロスから、春先や秋口は寒いボストンが本拠地に。重圧や期待を感じるほど、力が出るタイプ。愛着あるチームを離れることになったが、来季も魂の投球を見せる。
中日スポーツ