「80年前の日本と共通」元イスラエル兵が嘆く母国の姿 日本に何を期待する
徴兵でイスラエル空軍に所属した経験があるイスラエル人の木工職人ダニー・ネフセタイさん(67)=埼玉県=が、滋賀県近江八幡市であった県母親大会で講演した。パレスチナ自治区ガザで続くイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘を憂慮し「武力による争いは憎しみの連鎖を生む。対話でしか終わらせられない」と語り、平和憲法を持つ国として日本の役割にも期待を示した。 ダニーさんは退役後の1979年に来日。日本人の妻と木工家具づくりの傍ら、講演活動に取り組んでいる。 講演テーマは「武器を持てば平和になるの~イスラエルの今・そして日本」。パレスチナ問題の長い歴史の解説を交え、エスカレートする戦闘で民間人が殺害されたり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したりするなどガザ地区の悲惨な現状を紹介し、終結には対話が鍵を握ると強調した。 「ゆがんだ教育」で右傾化を進め、軍が力を持つ母国の姿について「80年前の日本と共通する」と述べ、抑止力が必要として防衛費を膨らませる日本政府の動きにも疑問を投げかけ「国家の責任は一人の犠牲者を出さないこと」「『戦争をやめろ』と声を上げる必要がある」と指摘。「真っ暗な世の中が戦時中の日本とすれば、今はグレーゾーン。次世代に希望ある世の中にできるかは私たち次第」と訴えた。 10日の同大会にはオンラインを含め約770人が参加。女性や親の視点から、医療や子育てなど計7分科会での討論の後、命と暮らし、平和を守るアピールを採択した。