退職時「有給消化」を伝えたら断られました。前の職場はOKだったのに…何が違うんですか?
年末を迎え、今後のキャリアを熟考している方も多いでしょう。中には2024年に転職を控えている方がいるかも知れません。 【知ってた?】有給休暇では「年10日以上の有給が付与される労働者に対し、年5日は時季を指定して有給取得させる」ことを企業に義務付けている 退職するときは、残った有給をすべて使ってしまいたいと考える方も多いでしょう。 しかし、実際に有給消化の申し出をしても認められる職場と認められない職場があります。 本記事では、有給消化が認められる職場と認められない職場の違いについて解説します。 円満に有給消化するためのポイントも紹介しますので、退職時の参考にして下さい。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年次有給休暇とは
年次有給休暇(以下、有給)とは、労働基準法第39条に定める給与が支給される休暇のことです。 一定の要件を満たして有給が付与されると、自分の都合のいい時期に取得でき、原則企業は有給取得を拒否できません。 ただし、有給取得によって「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、企業は取得時期を変更できます。 「事業の正常な運営を妨げる場合」とはどのようなケースかを判定するのは難しいですが、客観的・社会通念上、合理的な理由なしに取得時期を変更すると違法となる可能性もあります。 また、有給の取得促進を目的に2019年4月に労働基準法が改正され、「年10日以上の有給が付与される労働者に対し、年5日は時季を指定して有給取得させる」ことを企業に義務付けました。
有給消化を断られるケース
退職者の有給消化も原則通常の有給取得と同じで、労働者が自分の都合で自由に取得申請でき、原則企業は申請を拒否できませんが、現実には企業に拒否されるケースがあります。 退職時の有給消化を断られる主なケースを紹介します。 ●ケース1.急な申し出で業務に支障がでる 1つ目のケースは、前述した「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当する場合です。 退職申し出した日から退職日までの期間が短い場合、業務に支障が出る事態もあるからです。 企業には客観的・社会通念上、合理的な理由の説明と有給取得時期の変更が求められますが、退職日までに有給取得できない可能性もあります。 有給時期を変更するために、退職時期を遅らせるケースもあるでしょう。 ●ケース2.引き継ぎする相手がいない 2つ目のケースは、業務を引き継ぎする相手がいないため企業が有給取得を拒否せざるを得ない場合です。 ケース1に該当するケースと違法になるケースがありますが、判断が難しいところです。 ケース1に該当しなければ労働者の権利として取得を強硬に主張することも可能ですが、勤務先ときちんと話し合って対応を決めるのが一般的です。 この場合、企業、労働者とも一定の妥協が必要になるかもしれません。 ●ケース3.違法な有給取得拒否 3つ目のケースは、ケース1.2に該当しない違法な有給取得拒否です。 「これまで退職前に有給を消化した人はいない」「給与を払っているのだから最後まできちんと仕事をしてもらう」などの理由で有給を断られるケースが該当します。 一般的に、企業にとっては最後まで働いてもらうほうが都合がいいため、法令遵守の意識が低い企業でみられる違法行為です。 円満に退職するために有給取得を諦めるか、労働基準監督者弁護士などに相談して会社と争うか、選択が必要になるケースもあります。