アジア半導体株、割安感でさらに上昇も-JPモルガンのファンド予想
(ブルームバーグ): アジアの半導体株は米国勢に比べ割安な水準にあり、さらに上昇する余地があると、JPモルガンSARアジアン・ファンドを共同運用するオリバー・コックス氏はみている。
運用資産12億ドル(約1900億円)の同ファンドの運用を手掛けるコックス氏は、人工知能(AI)ブームが継続する中、台湾や日本、韓国の半導体サプライチェーン関連企業の売上高は伸びが加速すると予想。ブルームバーグ集計データによると、域内の半導体銘柄に対する投資を受け、コックス氏のファンドは過去5年間、競合ファンドの97%を上回る好成績を収めている。
コックス氏(香港在勤)は先週のインタビューで、「米主要銘柄のバリュエーションは大幅に見直されたが、アジア太平洋にあるサプライチェーンの多くはさほど見直されていない」とした上で、「このためキャッチアップの余地はあると引き続きみている」と述べた。
株価が上昇していた米半導体メーカー、エヌビディアが3営業日続落したにもかかわらず、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は今後の利益予想に基づく株価収益率(PER)がなお約28倍と、5年平均(20倍)を上回っている。これに対し、アジアの主要半導体企業で構成されるブルームバーグの指数は17倍。このバリュエーション格差は2009年以来の大きさにある。
エヌビディア株が調整局面入り、過去3営業日で時価総額68兆円消失
コックス氏によると、AIサーバー投入が高性能メモリーのほか伝導性向上につながる回路基板材料など、基幹部品の需要増を加速させるため、アジアの半導体企業が恩恵を受ける見通しだ。
「AI開発が加速する中、野心的な目標達成には『最先端』 の生産拠点がカギを握るが、そのほとんどがアジアにある」と論じた。
4月のファクトシートによると、同氏のファンドで最大の割合を占めるのは台湾積体電路製造(TSMC)で9.6%。韓国のサムスン電子とSKハイニックスもトップ6に入っている。