「本質はUWFにある!」 ジョシュ・バーネットがひも解く日本総合格闘技の源流
1976年6月26日に開催されたアントニオ猪木とモハメド・アリの異種格闘技戦が、40年後の2016年に総合格闘技のルーツとして再評価されたことも、ジョシュにとっては自身の総合格闘技史観を深める追い風になった。それまでUWFと新日本プロレスはヒクソン登場以前の歴史の中に埋もれていた感が強かったからだ。 ジョシュは声を大にして訴える。 「本質はUWFにあります」 ジョシュが生まれる1年前に開催された猪木vsアリからも多くの刺激を受けたという。 「レフェリーを務めたジン・ラーベルさんのこともよく知っています。(新日本プロレスで猪木の右腕だった)新間寿さんからこの一戦について直接話を聞く機会もありました。友人のジャーナリスト、ジョシュ・グロスが著した『アリ対猪木――アメリカから見た世界格闘史の特異点』(亜紀書房)からも多くのことを学びました」 ジョシュが主宰するプロレスイベント「ブラッドスポーツ 武士道」のホームページには以下のような説明がある。 「かつて日本にはカール・ゴッチに始まり、ビル・ロビンソン、 アントニオ猪木が受け継いだ、強さを追求するプロレスのスタイルがあった。『Bloodsport』は3人の先人に師事し、その血を継ぐジョシュ・バーネットが 2019年にアメリカで旗揚げしたプロレス団体。ロープを外したコーナーポストのみという、従来とは違う形式のリングを採用し、 勝敗はピンフォールなし・ノックアウトもしくはギブアップのみで決まる。まさに強さを追求したレスラーだけが戦うことを許される、 世界一過酷で生々しいプロレスが繰り広げられる舞台だ」 アメリカ同様、日本でもプロレスと格闘技が大別されるようになった一方、プロレスの中では多様化が進んでいる。大昔はタブーとされていた「男vs女」も令和のマット界では当たり前に組まれるようになった。そうした中、ジョシュは強さを追い求めるプロレスラーたちの居場所を作ろうとしているのか。 (つづく) 文/布施鋼治 写真/長尾 迪