ラグビーW杯今日開幕!日本が勝負のロシア戦に勝つために何が必要か?
タイトかつ不慣れな日程をこなすなか、アレクサンダー・ヴォイトフアシスタントコーチは「フィジカル、テクニックでできることはすべてしてきたが足りないこともたくさんある。開幕で地元チームとやる心理的プレッシャーはあると思っています」と認めてはいる。 しかし左プロップのヴァレリー・モロゾフは、日本のメディアに鋭い眼光を飛ばした。 「我々には作戦がある。コーチの定めた計画をやるだけ。それぞれ、自分の役割をわかっています」 昨秋のレッスンを受けてか、日本代表の選手たちは「この時期に相手を下に見る選手はいない」と口を揃える。少なくとも目に見える範囲では、侮る気配はなさそうだ。 具体的な対策としては、相手のキックへの迎撃態勢の整備が挙げられそうだ。前日練習のレギュラー組は、グラウンド中盤タッチライン際の接点からの攻め方を確認していた。その起点は、もっともキックを蹴り込まれそうな箇所にも映る。 「キックを捕った後のカウンターアタックは重要なチャンスです」とは、トニー・ブラウンアタックコーチ。昨秋対戦時にスタンドオフで先発した松田力也は、ベンチ入りする今度のゲームへこんな所感を明かす。 「(昨年は)相手がブレイクダウン(接点)に(圧力を)かけてきてその後ろにスペースがある時でも、無理にアタックしようとしていました。(あらかじめ決まった)プランを遂行するなかでアタックすべき(とされる)エリアでも、一度(キックを蹴って)ボールを手放してプレッシャーをかけるなど、状況に応じた判断も必要だと感じました」 ブラウンコーチの「カウンターアタックが重要」という指針と矛盾しているようにも映るが、空いた場所へ首尾よくボールを運ぶべきという意味では両者の意見は一致する。スクラムハーフの流大は言う。 「スペースにボールを運ぶ。その方法がパスなのか、ランなのか、キックなのかはスペース(の場所)や試合状況次第ですが。フィジカル、ブレイクダウンで圧力を受けるとロシアのラグビーになります。そうさせないよう、スマートに戦うよう引っ張っていきたいです」 レフリングに対応すること、相手の土俵に上がらないこと。日本代表がこのふたつを実現させれば下馬評に近い結果を生みそうだし、このふたつを乱せば番狂わせを招きうる。W杯が恐ろしい舞台であることは、4年前の日本代表が実証済みだ。過去優勝2回の南アフリカ代表から大会通算2勝目を挙げている。 果たして当日、勝利の条件を整えられるか。流は武者震いする。 「当日は僕も緊張すると思うんですけど、それぞれの選手を繋いでいくようなコミュニケーションを取って、ゲームをコントロールしていきたいです」 (文責・向風見也/ラグビーライター)