闘牛士のようにヒラリ 大の里の土俵際横っ跳びに八角理事長も反応「相手が見えている」
◆大相撲夏場所8日目(19日、東京・両国国技館) 新小結・大の里が、西前頭筆頭・大栄翔との1敗対決をはたき込みで制し、トップの座を堅持した。相手に押し込まれたが、土俵際で横っ跳び。反応の良さを見せた。首位は平幕の宝富士を加えた2人。2敗で大関・琴桜に平幕の大栄翔、宇良、御嶽海、湘南乃海の5人が追う。カド番で7日目から休場した大関・霧島は9日目の取組に入らず、負け越し。来場所での関脇転落が確定した。 192センチ、181キロの巨体が、闘牛士のようにひらりと舞った。大の里は大栄翔の突き、押しに土俵際まで後退。とどめを刺そうとした相手が踏み込んできた瞬間、右へ軽くジャンプ。「落ち着いて反応できた」とはたき込んだ。持ち前の圧力だけではなく、卓越した身体能力も見せ、6連勝で1敗を死守。「連勝は気にしていない。一日一番集中するだけ」と汗を拭った。 前夜(18日)は十両で2勝5敗と苦しむ兄弟子・白熊のためにすし屋を予約。サーモンやシャコなどのすしや験直しの濃いめのハイボールを4杯ごちそうした。新潟・能生中、海洋高、日体大と同じ道を歩んだ白熊は「相当落ち込んでいたので元気づけてくれた」。この日、連敗を止めた兄弟子の取組は、大の里にとっても“力水”となった。 幕内後半戦の審判長だった九重親方(元大関・千代大海)は「大の里はひらめきというか、いい相撲」と絶賛。八角理事長(元横綱・北勝海)は「相手が見えている」とうなずいた。大の里の1敗ターンは初場所、春場所と同じ。ともに終盤で失速したが、今場所はひと味違う。「どんどんエンジンがかかってきた」。初賜杯に向け、自信たっぷりで後半戦に挑む。(山田 豊)
報知新聞社