はれのひ・篠崎社長「詐欺のつもりなかった」“雲隠れ”には「逃げてない」
成人式当日に営業を停止し、晴れ着を着られない新成人が相次いだ振り袖の販売・レンタル会社「はれのひ」(横浜市)の篠崎洋一郎社長(55)は26日夜、横浜市内で記者会見を開いた。篠崎氏は「本当に取り返しのつかないことをしてしまった。すべて私に責任がある。本当に申し訳ございませんでした」と時々声をつまらせながら、何度も頭を下げた。
急激な出店で人件費かさみ赤字に
はれのひは26日、横浜地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は約6億3500万円だが、調査中の新成人らの損害分は含まれていない。これらは約4億円になると考えられており、合わせると負債総額は11億円前後になる可能性があるという。 成人の日の8日、同社は当日の費用支払いのめどが立たなくなり、横浜市と東京・八王子市の店舗の営業を停止。購入、レンタルの注文をしていた新成人女性らが振り袖を着られず成人式に出席できないなどのトラブルが続出した。篠崎氏は会社に姿を現さず、騒動が大きく報じられた後も行方が分からない状態になっていた。 篠崎社長は会見冒頭の説明で、同社が一時6店舗を抱えるなど急激な出店で人件費などがかさみ、赤字になったことや、新たな融資交渉も不調に終わったことなどを説明した。
「お客様に連絡するタイミングはあった」
当日になって突然、営業停止した経緯については、「ぎりぎりまで何とかしたいという思いがあった」との釈明を繰り返した。「私も社員もいろいろな方面で交渉を続けていて、(契約通り)できなくなる危険性もあったが、それは考えずに最後まで交渉した」「思えばもっと早くお客様にお知らせしておけば、このような最悪な事態にならなかった」。 「成人式は一生に一度のこと。商売に誇りをもってやっていたので、取り返しのことをしてしまったという気持ちでいた」と会見で仕事への思い入れを語ってみせた篠崎社長だったが、「なぜ数日前に新成人らに連絡できなかったのか」と問われると、「すべての成人式を実施したかった。結果的にはそうできなかったので、いま思えば、何回かはお客様に連絡するタイミングはあったのかなあと思う」とも漏らした。 当日営業しない判断を、いつ・だれがしたのかとの質問には、「八王子は前日7日の午後8時ごろ、横浜では7日の午後5時、6時ごろだったと思う」としたものの、「開けない判断は私の判断ではなく、出来ない状況になっていった」と弁明した。 経営状況が厳しいと社長が感じたのは昨年4月ごろだったという。そういう状況でも注文を取り続けたことは詐欺に当たる可能性もあるのではとの指摘には、「必死で営業をかけていた。そういうつもりは毛頭なかった」と否定した。