「稼ぐことに興味ない?」連れて行かれたタワマンで7時間軟禁 「モノなしマルチ商法」大学生が受けた勧誘の実態 140万円借金してやっと解放
国民生活センターによると、マルチ商法に関する相談件数のうち、モノなしは2013年度で全体の2割程度だったが、2017年度以降は5割を超え、最新の2022年度は3536件に上った。20代以下からの相談が半数を占めており、若者を中心にトラブルが多発している。 国民生活センターは勧誘してきた事業者の実態や、もうけ話の仕組みが不明な場合は契約しないよう注意を呼びかけるとともに、トラブルになった場合は消費生活センターや消費者ホットライン「188」に相談してほしいとしている。 ▽「断りにくい間柄」で被害拡大 なぜ若者がモノなしマルチ商法のトラブルに巻き込まれやすいのか。消費者問題に詳しい大地総合法律事務所(東京)の佐久間大地弁護士に聞いた。 ―従来のマルチ商法よりも「モノなしマルチ商法」のトラブルが増えている背景を教えてください。 「昔に比べ、仮想通貨などへの投資がより身近になったことが理由の一つだと思います。また、SNSで他人の生活を目にする機会が増え、『憧れの生活をしているあの人が投資しているならやってみたい』というきっかけも多いようです」
―どうして若者の間で被害が拡大しているのでしょうか? 「30代以上に比べて、20代以下が所属しているコミュニティは『断りにくい間柄』である傾向が高いのではないかと感じます。会社などでは、そもそも勧誘が禁止されている上、断ったところでその後の人間関係に影響を及ぼさない場合が多いです。一方で大学などの同級生や友人だとなかなか断りづらく、広まってしまうのではないでしょうか」 ―契約時に消費者金融で借金させるケースも見られます。 「他の消費者トラブルでも多い手法です。『借りた額以上に稼げる』や『大金を稼げるので返済はすぐにできる』などとうたっているパターンが多いです。被害者に資力がなかったとしても、借金させれば事業者は商材の購入や契約をさせることが可能になります。事業者はお金を得られますが、被害者に残るのは借金のみです。大変悪質と言えます」 ―被害に遭わないために気をつけるべきことはありますか?