「価値を失くしてしまうと思って」桐蔭横浜大FW岡崎寅太郎が見つめ直した武器、“急遽メンバー入り”の一戦で開花
[12.22 インカレ準々決勝 大阪学院大 1-5 桐蔭横浜大 栃木市総合運動公園陸上競技場] 【写真】福田師王が大胆イメチェン「ライオンじゃん」「圧倒的金ピカ」 巡ってきた出場機会で取り組みの成果を発揮した。桐蔭横浜大のFW岡崎寅太郎(1年=川崎F U-18)は急遽メンバー入りを果たした全日本大学サッカー選手権(インカレ)の準々決勝で途中出場すると、「自分の武器、ドリブルから決め切るところを今年1番良い形で出せた」という手応え抜群のゴールで勝利を決定づけた。 プレミアリーグEAST得点王の称号とともに入部した岡崎は9月にリーグ戦初ゴールを記録するも、3連敗となった10月19日の関東学院大戦(●2-3)以降はメンバー外が続いた。その間にチームは3連勝を果たして残留争いからインカレ出場争いへと躍り出る形に。岡崎は最終節で控えに戻ったが、出番は訪れなかった。今季のリーグ戦は15試合1得点と、1年生としてはまずまずの出場機会を得る形になったものの、終盤でメンバー外が続いたことからも満足のいくシーズンとはならなかった。 「始めの方はコンスタントに出場機会をいただいていて、守備のクローズのところで高校のときやっていたようなこととは違うことも学ばせてもらって成長できていたんですけど、後半戦になって選手層の厚さだったりポジション争いが加速していく中で試合に絡むことができなくなり、自分の強みみたいなのを少し見失う時期があった。もちろん東海大戦で(90+6分に)チームのためになるようなゴールが取れて、勝負強さは武器として大切にしている部分なので良かったですけど、1年を通してみるともっとやらなきゃいけないと感じたシーズンでした」 リーグ戦の戦いをそのように総括する中で、岡崎は「(以前は)勝手に締め方とか、リスクを取らないプレーを心がけてしまっていた部分があった。それではプレーヤーとしての価値を失くしてしまうと思って、もう1回自分の武器を見つめ直した」。ストライカーとしての矜持を示すべく、「シュートの精度や目の前の相手を剥がすことを意識して」特長の強化に励んでいた。 インカレでは再びベンチ入りや途中出場が続くも、第3節ではメンバー外に。続く22日の準々決勝も当初はメンバー外になる見込みだったという。ただ短期決戦の中で離脱者が発生し、岡崎がベンチに入ることになった。 「本来今日、自分はメンバーに入るはずじゃなくて、色々チーム事情が重なってたまたまベンチ入りのチャンスが回ってきた。自分が出たら絶対点を取ってメンバーにもう一回食い込んでやろうという思い」と岡崎。強い決意とともに試合に臨むと、4-1でリードする後半43分に出番が訪れた。 すると交代直後の後半44分、自陣でボールを受けて2対2のカウンターになると中央をドリブルで切り裂いて右足一閃。ボールはゴール左に吸い込まれていった。点差や時間帯を考えるとこのゴールが勝利に与えた影響は少なかったかもしれないが、岡崎にとっては大きな意味を持つ一発。まさに取り組んできた形でゴールを決めたことに「来年とかその先にも繋がるイメージが湧いたかなと思います」と笑顔を見せた。 岡崎を抜擢した安武亨監督にとっても「嬉しかった。やっと取ったか」と待望のゴール。「彼の前向きのドリブルからのシュートは特長なので、素晴らしいゴールだったかなと思います」と目を細めていた。 熾烈なポジション争いの中でアピールした一方、「守備の追い方だったり攻撃のアイディアだったりをまだまだもっと盗みたいくらい」という先輩の壁は高い。この日岡崎との交代で退いたFW笠井佳祐(4年=関東一高/新潟内定)は1人で4点を決め、先発したFW渡邊啓吾(4年=旭川実業高/湘南内定)も前線で体を張り続けた。岡崎は「残り少ない2試合を無駄にしないように、自分もしっかり勉強させてもらいたいと思っています」と4年生と戦える最後の舞台を大切に戦い抜いていく構えだ。