メダルラッシュ再現期待のスケボー 根附海龍は静岡からパリへ 五輪争い急浮上の20歳が語った地元愛
7月26日のパリ五輪開幕まで100日を切った。男女でメダル5個を獲得した21年東京大会に続き、メダルラッシュが期待されるスケートボードで、静岡・島田市在住の根附海龍(かいり、20)=DC Shoes=がこのほど、しずおか報知の取材に応じた。ストリート男子の五輪予選世界ランクは5位。最大3枠が有力な日本勢で五輪圏内の2番手につける。残り2試合となった予選への思い、現在も拠点を置く静岡への愛着を語った。 ■世界選手権で銀 五輪代表争いがヤマ場にさしかかる中、根附が急浮上してきた。昨秋から調子を上げ、昨年12月に日本勢が表彰台を独占した予選第5戦の世界選手権(東京)で銀メダル、3月の第6戦(ドバイ)では優勝を飾った。昨年10月時点では五輪世界ランク15位で日本勢5番手だったのが、同5位で2番手まで上がってきた。 5月に上海で開催される次戦に向けて、JR東静岡駅近くの練習場で技に磨きをかけている。「今の時点なら五輪圏内に入っている。そのまま(日本勢の)3位以内を維持していけたらと思います」。気負いのない表情がポイントの話題になると緩んだ。世界選手権優勝で8万点だったのが、6月のブダペストまで残り2試合は優勝で26万点など3倍以上に跳ね上がる。「急にデカくなる。ヤバイですね(笑い)」。21年東京五輪金メダルの堀米雄斗ら強力なライバルがおり、油断できない最終章を迎えた。 ■大技成功に自信 ただ、結果が証明するように手応えはある。45秒間滑って技を繰り返す「ラン」で「(構成の)つくり方を変えたのが一番大きい。同じ技をいっぱいやるよりも、いろんな技をいろんな場所でやる方が得点が出ると思った」。世界選手権で惜しくも失敗したトリックの大技「ヒールバックテールビッグスピンアウト」も成功に自信を見せており、「いつも通りの滑りができたら表彰台はいけると思う」と言い切った。 島田市で生まれ育ち、練習場所は県内から出ていない。「家の周りはけっこう田舎で、川が近くて、山もあって、自然豊かな場所。すごく落ち着きます。都会だと疲れちゃう。(拠点を変えて)東京で遊んじゃうスケーターもけっこういるんです。それにはなりたくない」と、冗談交じりに“静岡愛”を明かした。 ■「自分が活躍すれば…」 17年にオープンしてからは「東静岡アート&スポーツ・ヒロバ」を拠点にしている。同学年で小学時代から互いを知る東京五輪代表の青木勇貴斗とも一緒だ。「日本にいる時はほぼ毎日、ここで練習しています。やっぱり勇貴斗がいるのは大きいし、広いパークでいろいろなことができる」。だが当初から暫定利用の施設で、アリーナ建設に伴い、来年9月で閉鎖されることになった。市では新たな施設を検討するが、場所や時期は決まっていない。 「自分が五輪に出て活躍すれば、たぶん静岡の他の場所に(スケボーの)パークができるんじゃないかと思います」と話したところで、チームスタッフが名前の付いた「海龍パーク」を提案すると「自分の名前はちょっとイヤです…」と笑った。東京五輪後、県内でもスケボーを始める子が増えた光景を見てきた。今度は自身が静岡のスケボー熱を高める。(武田 泰淳) ◆五輪でのスケートボード競技 初実施された東京大会と同様、ストリートとパークの2種目。ストリートは階段やレールなどが設置されたコースで45秒間滑って技を何度も繰り出す「ラン」(2本)、一発の技で勝負する「シングルトリック」(5本)を行い、得点の高いラン1本とトリック2本の合計で予選、決勝とも競う。東京大会では男子で堀米がストリート金メダルに輝き、女子は2種目で金2、銀1、銅1のメダルを獲得した。 ◆根附 海龍(ねつけ・かいり)2003年8月19日、島田市生まれ。20歳。伯父の影響を受けて、小学1年からスケートボードを始める。島田二中1年時にプロ資格を取得。常葉大橘高に進学し、19年にはスケートボード界でアマチュア最高峰の「タンパアマ」で優勝。家族は両親と弟。170センチ、55キロ。
報知新聞社