2年ぶりのフル代表復帰を果たした今村佳太、ハンドラーとしてのこだわり「自分の強みを出すことが差別化にも繋がります」
周りを巻き込むプレーを重視「自分のペースを崩さずにやりたいと思います」
冒頭で触れたように、ポジション争いにおいてワールドカップ出場組の序列が上なのは間違いない。22日、25日の試合で今村が出場機会を得たとしても、ベンチスタートで限られた時間でのプレーになる可能性は高く、今村も自身の立ち位置については「危機感を一番持っています」と語る。 「ワールドカップ組が結果を出したのは事実で、そこに割り込んでトムさんの信頼を得るのは難しいです。ただこの2試合でアピールできるので、自分がゲームを作る気持ちで臨みたいです」 琉球での今村はハンドラーとして、コートに出ている選手全員をオフェンスに巻き込むことを重視している。ただ、限られた出番であれば、自ら得点やアシストを挙げる方がインパクトを残しやすい。それでも今村は「ベースとしてそれ(周りを巻き込むこと)が自分の強みで、どれだけ自分の流れでプレーできるかが大事です。消極的になって何も見せられないのは一番良くないので、そこは気をつけながら自分のペースを崩さずにやりたいと思います」と、自分らしさを出すことを大切にする。 何故なら、それこそが序列を高める一番の近道だと信じているからだ。「自分の強みを出すことが差別化にも繋がります。それを見せていかないと12名には入れないです」 言うまでもなく、琉球の一員である今村にとって、ワールドカップ出場を逃したことは大きな後悔となり、パリへの思いをより強くする一因となっている。「沖縄でのワールドカップは琉球ゴールデンキングスに所属していた分、つかみ取れずにすごく悔しい思いをしました。自分としては、パリ五輪は誰よりも強い気持ちでやっていきたいです」 2年前とは違い、今村は攻守ともに高い次元でこなせるBリーグ屈指の2ウェイ選手の地位を確立した。そして今回は、持ち味であるハンドラーとしてプレーできる模様だ。自らの進化でより本領を発揮しやすい状況をつかみとった今村が、今回こそ日の丸を着て本来のプレーを見せてくれることを楽しみに待ちたい。
鈴木栄一