東京都内の真夜中に多い「ウーバーイーツ配達先ベスト3」【チャリンコ爆走配達日誌】
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第63回 ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります! * * * お盆休みも終わり、8月ももう終盤。早いところでは、もう新学期が始まっていますが、東京では最高気温が35度を超える日もあり、夏が終わる気配はまだまだありません。 努力義務化されたヘルメットの着用、しなくても問題ないもののBAD評価の要因となるので着用するマスク、電動でアシストされるとはいえ常にペダルを漕ぎ続けなければ動かない自転車。そんな環境で配達をしているので、この季節は基本、気温が30度を下回らない限り配達しないようにしています。 となると、配達する時間帯は早くても21時から。主に稼働する時間は深夜2時前後という真夜中の配達が中心となります。この時間帯はやっている店が少ないこともあって注文される方が少なく、稼げる時間帯ではありません。ですが、昼間の配達では体験できないものも多く、配達で感じたことをあれこれ書く私のような人間にとっては興味深い時間帯です。 そこで今回は深夜に多い配達先ベスト3を紹介します。ランキングは私の配達をもとにしているので、フードデリバリーで深夜配達されている方は「自分も深夜に配達しているけど、全然違うぞ!」とお怒りにならず「東京エリアではそんな配達先もあるのね」ぐらいな感じで見ていただけたらと思います。 第3位は「銀座のクラブ」。 私が配達をするのは、東京の日本橋を中心とするエリア。銀座までは自転車で10分程度なので、クラブへ配達することが結構あります。 配達するものは、日本橋周辺にある店のスイーツやサンドイッチ、銀座周辺のすし屋の折詰めなど。クラブのお客さんがホステスの方たちと召し上がるために注文するのでしょう。銀座で遊ばれている方は情報をよく知っているようで、路地裏にある隠れた名店のような雰囲気の店で受け取り、銀座へと運んでいます。 指定された店へ行くと、必ず建物の前には注文された方ではなくお姉さま方がいて、商品を渡して配達完了。配達する身としては、エレベーターで目的の店まで行く手間が省けてありがたいです。また、職人さんが作られる折詰めは、多少傾いても中身が偏らないよう隙間なくおすしを入れているので、傾いてしまわないか不安を感じずに配達できるのでとてもありがたいです。 第2位は「病院」。 こちらは以前「病院の先生たちがウーバーイーツで注文する鉄板メニューは?」で紹介したので詳細は省きますが、注文される方の多くは疲れた顔をされております。 そして、第1位は「外資系企業」。 日本橋、大手町エリアのオフィスビルには多くの外資系企業が入っています。23時30分過ぎ、終電がなくなる時間から増えるのが、こういう企業で働く人からの注文です。 深夜なので指定のビルに到着したら裏側にある通用口にまわり、警備室で入館手続きをします。この時、入館証をもらうために外部の業者の入退館記録が記されたシートに名前や配達先を記入するのですが、このシートには「0:15 ウーバー 配達先〇〇」「0:37 ウーバー 配達先〇〇」「0:55 ウーバー 配達先〇〇」「1:32 ウーバー 配達先〇〇」「1:47 ウーバー 配達先〇〇」「2:20 ウーバー 配達先〇〇」と、ズラリと書かれており「外資系企業って大変だな」と思います。そして業務用エレベーターで目的のフロアへ行きます。 フロアに着いたら注文された方に連絡して、業務用エレベーターの近くで商品を渡します。注文したものを渡す際、向こうの顔がチラリと見えることがあるのですが、どの方も大変疲れ切っています。男女の比率は半々といったところです。 そんな方々が注文するのは、男性は牛丼かコンビニのお弁当。女性はコンビニのおにぎり、サンドイッチが多いです。深夜まで営業している店はコンビニか牛丼屋ぐらいなので、このようなラインナップとなるのはしかたないことと思います。ですがコンビニの場合、ビルから歩いて2、3分ほどで行くことができる店舗が多く、真夜中の配達を始めた頃は「ちょっとした休憩もできない状況なのか」と驚いたものです。 他にも、皇居周辺を自転車で通っていたらカブトムシが飛んできてヘルメットに当たったとか、公園で泣きながらブランコを漕ぐおじさんを見たとか、真夜中の配達ならではの体験はいろいろしていますが、そういったエピソードはまた別の機会にお話しできたらと思います。 文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明