「演歌を歌うにはまだ早すぎる」16歳でまさかのアイドルデビューした長山洋子(56)歌手活動40周年迎え「当時が今さら愛おしく」
今年、歌手活動40周年を迎えた長山洋子さん。いまや演歌歌手として不動の地位を誇りますが、実はアイドル歌手としてデビューし、10年目で演歌歌手に転向しました。歌い方がまったく違うポップスから演歌への移行は決して簡単ではなかったそうです。(全4回中の4回) 【写真】「美貌はまったく衰えてない」艶やかな着物をまとい舞台に立つ長山洋子さん(56)の現在 ほか(全21枚)
■演歌歌手のつもりがアイドルとしてデビュー ── 16歳でアイドル歌手としてデビューし、ユーロビートの名曲『ヴィーナス』のカバーで一躍人気者に。その後、デビュー10年目の25歳で演歌歌手に転向されました。
長山さん:子どものころから民謡をやっていて、もともとは演歌歌手としてデビューする予定だったんです。1年間のレッスンを受けて、デビュー曲まで決まっていたのですが、直前になって「演歌を歌うにはまだ早すぎる」ということで、急きょアイドルデビューが決まって。当時はアイドル全盛期で、荻野目洋子ちゃんや菊地桃子ちゃん、吉川晃司さんが同期でしたね。 デビューから10年が経ったころ、「そろそろ演歌歌手に転向してはどうか」という話が出て。私自身、「いずれは演歌を歌いたい」いう気持ちをずっと持ち続けていました。
── 10年間のアイドル時代を経て、歌い方を戻すのは大変ではなかったですか? 長山さん:10年のブランクは、思っていたよりも大変でしたね。ポップスと演歌では、間の取り方も、こぶしの使い方も全然違う。毎日レッスンに通い、いちから演歌の勉強をやり直しました。完全に演歌が体になじんで歌い方が変わるまで、ポップスは封印。「アイドル時代の歌はいっさい聴かない、歌わない」を徹底し、24時間演歌にどっぷり漬かっていました。このチャンスを逃したら、歌謡界ではもう生きていけないだろうと思っていたので、とにかくやるしかないなと覚悟を決めて、がむしゃらに頑張ってきました。
■アイドル時代の置き去りの10年も作品も大切にしていきたい ── 現在は押しも押されもせぬ演歌歌手として活躍されています。 長山さん:そう言っていただけると嬉しいです。ただ、アイドル時代の自分を封印して、演歌の道をどんどん突き進んでいくと、今度は置き去りにされた10年間がなんだか愛おしく思えてきたんですよね。アイドル時代の作品も、当時頑張っていた自分のことも。“これは、他の演歌歌手にはない私の財産なんだな”と思って、アイドル時代の歌も機会があればやっていきたいと思うようになりました。最近は、コンサートでメドレーのなかに、アイドル時代の『ヴィーナス』の曲を入れたりしているのですが、お客さんもすごく喜んでくださるんですよ。