〈中国・日本人10歳児死亡〉「怖いなら中国から出ていけばいい」SNSには事件に挑発的な書き込みも…狙われた日本人、大使館は安全確保の注意喚起も現地留学生は「どう注意すればいいの?」
中国でまた、日本人の子どもが襲われる事件が起き、日本中に衝撃が走った。中国南部・広東省の深圳(しんせん)で9月18日午前、日本人学校に通う10歳の男子児童が登校中に刃物を持った男に襲われた。母親の目の前で起こった凶行に、波紋が広がっている。 〈画像〉「子どもを狙うのは弱い人間だ」「怖いのであれば中国から出ていけばいい」ほかSNSで拡散される事件に関するコメント
44歳の男に刺され10歳男児が死亡
深圳といえば、中国の経済特区で中国本土の4大都市の一つ。「中国のシリコンバレー」とも呼ばれ、日本企業のほか、多くの海外企業や起業家、スタートアップが集まっており、GoogleやAppleの開発拠点もある。治安が比較的良いことでも知られているが、そんな町で日本人男児が襲われるという、中国の日本人コミュニティを震撼させる事件が起こった。いったい中国で何が起きているのか――。 複数の海外メディアによると、9月18日午前8時ごろ、深圳日本人学校の校門から約200 メートル離れた場所で、日本人の男子児童が44歳の男に刺されたという。負傷した児童は病院に搬送されたが、現地に駐在する日本の総領事が19日未明に男子児童が死亡したことを明らかにした。 中国外務省によると、男子児童を刺したとみられる男はその場で拘束されたというが、動機は明らかになっていないという。 同省の報道官は18日午後の定例記者会見で、「事件は捜査中であり、中国の関連当局は法律に従って対処する予定だ」と話した。 深圳日本人学校は、日本国籍を持つ子どもたちが通う小・中学校で、日本の教育課程に準じた教育を行なっているという。数年前に同校に就職の面接に行ったことがある女性(20代)はこう証言する。 「面接では穏やかな口調で校長や事務員が話してくれたが『日本人の中国に対する悪いイメージをどう思うか』『文化がずいぶんと違うがやっていけるか?』と聞かれ、日中関係を気にしている様子でした」 事件を受け同校は今週末まで休校となっている。
日本大使館は2日にわたりメールで注意喚起をするが…
男の動機はいまだ明らかになっていないが、中国といえば反日感情が強いことでも知られている。 事件が起きた9月18日は、1931年の満州事変の発端となった柳条湖事件(瀋陽近郊で日本の関東軍が線路を爆破した事件)が起こった日だった。また、9月は日中国交正常化を宣言した日中共同声明が発表された月でもある。 中国では約3ヶ月前の6月にも、東部の江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われ、日本人の親子がけがをする事件があった。現地では警戒が高まっていただけに衝撃が広がっている。この事件では、男を止めようとして刃物で刺されて重体となっていたバス案内人の54歳の中国人女性が死亡した。 また、中国外務省は「事件に関連がない」としたものの、今年6月、アメリカ人もいきなり刃物で刺される被害に遭っていた。AP通信によると、6月初め、東北部・吉林省の公園で中国人の男がアメリカ人の大学講師4人を刺し、介入しようとした中国人も負傷する事件があったという。 日本大使館は中国国内にいる日本人に対し、18日に続いて19日も安全の確保に努めるようメールで通知した。メールでは、外出の際は不審者の接近など周囲の状況に留意し、特に子どもを連れて外出する場合は十分に対策をとるよう呼びかけているという。 中国本土に留学中の日本人大学生(30代)はこう話す。 「面と向かって反日感情に直面したことはないですが、『気をつけて』と言われても具体的に何かできることがあるわけでもない。普通に暮らすしかない」
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