小関裕太さん『小関裕太に落ちたい』放送間近!「タイトル名を自分で言うのはちょっとお恥ずかしいんですけど(笑)」|CLASSY.
――新作となるオリジナルのショートドラマ『メロスの誕生』についても教えてください。 どんな内容、企画にしようかというお話のなかで、出会わせてもらったのが中川龍太郎監督です。すごくユーモアがある方で、それまではわりと静かなテイストの作品が多かったんですけど、中川さんにとっても挑戦的な作品を作りたいということでした。『走れメロス』を題材にしたのも中川監督のアイデアです。中川さん曰く、メロスの正義感や走っている姿などが僕と重なったそうで、それを現代風に描いてみたいと言っていただきました。今回、改めて『走れメロス』を読み返したんですが、原作と台本を比べたとき、大筋と多少の台詞はオマージュとして同じなんですけど、ヤクザものっぽい雰囲気もあって、確かに現代的だなと思いました。 ――『ハイテンション文学コメディ』という今作。撮影で印象に残っていることはありますか? 本当にたくさんの多国籍なエキストラの方に集まってもらったのですが、みんな日本語がわからないのに、とにかく盛り上がってくれる(笑)。なんかハッピーだなあって思って。どういうシーンか絶対わかっていないのに、僕が「フォー!」って言ったらみんな「フォー!イエー!」って僕のテンションを超えてくる、ハッピーな現場でした(笑)。『走れメロス』が執筆されて世に出回った時代とは確実に違う現代の感覚というのか、国籍問わず人が集まってくれた空間の温もりというのは今作ならではの解釈なのかなと思いますし、笑いがたくさん組み込まれています。それに加えて『走れメロス』の人間味も現代的に描かれているので、基盤はしっかりしていながら新しいドラマを観ているような不思議な感覚になるんじゃないかな。学生時代に教科書とかで読んだことのある人は、何も知らない状態で観ても「これなにかで見たことある気がする。懐かしい気がする」って感じると思います。
――ハイテンションなダンスシーンも印象的な見どころです。 作品のスパイスのようになっているというか、短編ならではの面白い部分がダンスシーンに詰まっているんじゃないかな。ダンス自体は振りつけといえるほどのものもなくて、僕が演じる主人公の「苦悩」がダンスになったという感じなんですけど(笑)。楽しんでいただけると思いますし、笑えると思います。周りの海外の方々もポカンとしていましたね(笑)。それでも一緒になって踊ってくれたので、何かに共鳴してくれたんだろうって(笑)。 ――『メロスの誕生』を観てくださる方にメッセージをお願いします。 『走れメロス』もそうですが、今作も「苦悩」がテーマ。『走れメロス』では、一瞬、捉われている身から逃げたいって思う瞬間が描かれていますが、今作では一瞬どころではなくてずっと逃げたいと苦悩している。この役には人間の欲望がたくさん詰め込まれている気がします。「家族」だったり「恋」や「性欲」だったり、「金」「夢」「酒」とか「楽しいこと」とか、そういうものがたくさん彼の前に立ちはだかってきて、さて彼はその誘惑に勝てるのかという苦悩が凝縮されている。立ち向かっていく彼の姿に、観てくださる方々が自分を重ね合わせてくれるのなら、誘惑や苦悩と闘うときに何がそのブレーキになるのか、何が自分を突き動かしてくれる原動力になるのかに気づかせてくれるような、そんな背中を押してくれる作品になっていればいいなあと思います。