「遺言書の保管」が“安心”かつ“便利”に!相続前にチェックしたい「自筆証書遺言書保管制度」を解説
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。2月11日(日・祝)の放送では、法務省 民事局商事課長の土手敏行(どて・としゆき)さんを迎えて、「預けて安心! 法務局の自筆証書遺言書保管制度」をテーマに話を伺いました。
◆自筆証書遺言書保管制度がリニューアル
遺言書は、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があり、前者は遺言者が1人で作成することができる遺言書、後者は法務大臣が任免した公証人が関与して作成し、公証役場で保管する遺言書です。なかでも今回は、リニューアルされた「自筆証書遺言」に関する制度「自筆証書遺言書保管制度」について深掘りしていきます。 まず自筆証書遺言書保管制度について、土手さんは「自筆で作成された遺言書を、法務局で保管する制度です。自筆の遺言書は自宅で保管されることが多いのですが、紛失や相続人に発見されないなどの問題が指摘されていました。そうした不安を解消するために設けられたのが『自筆証書遺言書保管制度』です」と説明します。
◆自筆証書遺言書保管制度の3つの特徴
この制度の特徴は「安心」「簡単で安価」「親切」の3つ。1つ目の「安心」について、「この制度では、遺言書の原本と画像データを法務局が責任を持って保管することで、遺言書の紛失を防ぎます。また原本は、遺言者の死亡後も50年間、画像データは150年間確実に保管します」と解説。 自筆証書遺言は、民法の定める方式にのっとり記述する必要があります。例えば、財産目録以外の全文と日付、氏名は遺言者の自筆でなければなりません。さらには押印も必要のため、不備があることも少なくありませんが、「この制度では、法務局の職員がそれらの形式面を確認して不備を防ぎます」とメリットを言及。なお、不備があった場合は遺言書が無効になる可能性があるので「遺言者にとって、法務局職員による形式面の確認は安心だと思います」と言います。 続いて、2つ目の特徴である「簡単で安価」について、「法務局に保管されている遺言書は、家庭裁判所の検認が不要です」と土手さん。なぜなら、封印されている遺言を開封する場合、家庭裁判所で相続人立ち合いのもと、裁判官が遺言書を開封し、その形状や日付、訂正の状態、署名など、検認の日の遺言書の内容を明確にするから。加えて、保管申請手数料は1件3,900円と安価です。 そして、3つ目の特徴「親切」については、「遺言者がお亡くなりになると、遺言書の存在を、相続人などに法務局からプッシュ型でお知らせします」と土手さん。なお、通知には「指定者通知」「関係遺言書保管通知」の2種類があります。 指定者通知は、遺言者の死亡後、生前に遺言者が指定した方に遺言書が保管されていることを通知するもの。これについても、リニューアルによって変更された点があります。 「これまで遺言者が指定できる通知先は、相続人などのうち1つに限定されていましたが、その通知先が3つに拡大されました。また、対象となる方も、これまでは相続人やそれ以外で遺言者が指定した財産を受け取る人、そして、弁護士や司法書士などの遺言執行者に限られていましたが、この制限がなくなったため、例えば、相続手続きをサポートする金融機関なども通知の対象にすることができるようになりました」と解説します。 指定者通知先が1つに限定されていたときは、“指定された人の住所変更の届出がされていない”などの理由で、通知が誰にも届かない恐れがありましたが、今回のリニューアルによって、そのリスクが減り、さらに通知対象者の限定をなくしたことで、広く関係者を通じて遺言書の存在を知ることができるようになりました。これらにより、相続の手続きなどを早期かつ円滑におこなうことが期待されています。