今年は大沢に平穏を 酒田・伝統の「さんど小屋」
昨年7月の豪雨で大きな被害を受けた酒田市大沢地区で6日、竹やかやの小屋を、お札やお守りとともに焼く伝統行事「さんど小屋」が行われた。毎年行っていた荒瀬川の川辺は、濁流にのまれたため、地元住民は今年の開催を諦めていたが、同地区を含む八幡地域の若者らでつくる「酒田やわた未来会議」(阿部彩人代表)が、会場を変えて企画。早期の復興や平穏な一年になることを願った。 さんど小屋は、大沢地区の山添集落で毎年1月6日に行われていた。小屋を焼く河原は豪雨による増水で崩れ、流された。毎年、一年間守ってくれたお札や、お守りを持ち寄り、焼いて感謝するとともに、新しい年の無事を祈ってきた。地元住民は、今年は中止することにしたが、同会議代表の阿部さん(44)は違った。「こんな時だからこそ、大沢地区全体のために行おう」と開催を呼びかけ、会場を大沢コミュニティセンター前の畑に変えて行うことにした。 この日は午後から住民や学生ら12人が参加。1時間ぐらいで、高さ3メートルほどの小屋を完成させた。日没後、小屋の中でたき火をして語らい、古いお札やお守りなどと一緒に、小屋に火を付けた。山添集落に住む大沢コミュニティ振興会長の後藤正一さん(73)は「燃え方や竹が破裂する音で一年を占う。今年はいい年になりそうだ」と話した。阿部さんは「また、あのような災害は起きてほしくない。良い一年になってほしい」と祈った。