「袴田事件」9月26日の再審判決を前に大規模市民集会開催 「再審法改正」の実現を訴える
「理不尽な状況を知ってほしい」
そもそも再審法という法律はない。刑事司法の手続きを定めた刑事訴訟法(刑訴法)の435条から453条までの「再審」に関する記載箇所を差しているもの。現状では、どのような場合に、具体的にどのような手続きを経て再審が行われるのかなど、明確なルールがないに等しく、担当した裁判官次第で不合理な格差が生じるなど、えん罪にも絡むさまざまな問題があるという。 「再審法改正を目指す市民の会」では、再審のルール作りのために、①再審のためのすべての証拠の開示 ②検察官の不服申立ての禁止 ③再審における手続きの整備、 の3つの改革を提言している。同会の共同代表、映画監督の周防正行さんは会見で、立ち上げから5年の思いと集会の意義について語った。 「日弁連の努力もあって、国会議員の方にはかなり浸透して再審法の改正の実現までもう少しというところまで来ました。ただし、やはり多くの市民の方への理解はまだまだ進んでない。ここに国会議員の方を後押しする形で、市民の方の賛同の声がどうしても必要だなという風にずっと考えてます。 袴田事件はよく知らないし、裁判のやり直しって何? という方もいると思います。僕が1番危惧してるのは、無罪判決が出ても、検察官が控訴すればまだ裁判が続くっていう現実があるということです。日本の刑事裁判の今の理不尽な状況を知っていただく、本当に入口になるような集会にしたいと思ってます」(周防さん)
国会議員の中でも再審法改正の理解が広がるが
この6月、再審に関する法改正について、超党派の国会議員346人でつくる議員連盟によって要望書が法務大臣に提出された。その中でも、証拠開示の不十分さ、再審に関する手続きの規定が法律上ほとんどないことなどについて指摘がなされている。 国会議員の中でも再審法改正の理解が広がっていることは確かだが、一方で、政局に大きな変化が生じる可能性がある。奇しくも26日袴田事件の再審判決の3日前が立憲民主党の代表選挙、翌日が自民党の総裁選挙となった。 「誰が政権のリーダーになってもこの問題を政治主導でやってもらうことを働きかけていきます。そして、その後にあるかもしれない解散総選挙、国会に繋げていきたい。現在、国会内では、それなりに理解は広がっていますが、まだ一部の人たちにとどまっているように思います。法務省、検察も非常に抵抗が激しいです。やはり政治の力で今の勢いのそのままに、できれば秋の臨時国会、遅くとも次の通常国会には法案が出るというようなところまで持っていくために、(集会を起点に)働きかけたいです」(鴨志田弁護士) 19日の集会は、袴田さんのお姉さんひで子さんをはじめ、ユーチューバーのせやろがいおじさん、古舘伊知郎さん、衆議院議員の稲田朋美議員など各界からバラエティに富んだ人々が登壇、ショートムービー上映やミニライブも予定されている(雨天決行)。
■市民集会「今こそ変えよう!再審法~カウントダウン袴田判決」 開催日時:2024年9月19日(木)午後5時~午後7時 場所:日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)(東京都千代田区日比谷公園1-5) 参加費・受講料:参加費無料・事前申込不要 内容詳細: 日本弁護士連合会 https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2024/240919
弁護士JP編集部