マカオLRTの新線「横琴線」が開業…日本のシステム採用=マカオ半島心臓部への延伸検討へ
マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」の新線「横琴線(Hengqin Line)」が12月2日に正式開業した。 横琴線は2021年4月に着工。既存のタイパ線「蓮花駅」(高架駅)から西へ十字門水道を全長約900メートルの河底トンネルで越え、広東省珠海市横琴新区との陸路のボーダーゲートにあたる横琴イミグレーション施設直下の新駅「横琴駅」(地下駅)に到達する2駅、全長約2.2キロの路線。 同日午前、マカオLRTを運営する澳門輕軌股份有限公司(マカオLRT社)が蓮花駅で開業式典を行い、賀一誠マカオ行政長官らVIPが試乗した後、午後1時11分に一番列車が蓮花駅を出発し、営業運転がスタート。同社によれば、両駅間の所要時間は約2分、運転間隔は6分毎を予定しているとのこと。
蓮花駅は統合型リゾート(IR)が集積するコタイ地区の一角に位置し、IR施設「スタジオシティ」と通路で直結。また、同駅では駅ビル開発も進められている。横琴駅の地上出入口は横琴イミグレーションビル(マカオ側)の真横に設けられ、改札階と地上出入口の間はエレベーター及びエスカレーターで接続。横琴イミグレーションは中国が国家プロジェクトとして開発を進める横琴新区の玄関口で、利用者数が増加傾向にある。従来、マカオの市街地からはバスやタクシーが主なアクセス手段だったが、同線の開業によってアクセスがの飛躍的な向上が期待されている。 目下、マカオLRTでは路線ネットワークの拡充が進んでおり、昨年(2023年)12月にタイパ線の媽閣駅延伸部、今月(11月)1日には石排灣線(約1.6キロ)が相次いで開業した。さらに、マカオ半島北部に位置する主要な陸路の玄関口、關閘イミグレーション付近とタイパ島の北安地区を結ぶ東線(約7.65キロ)の建設工事も着工済み。東線については、タイパフェリーターミナル駅でタイパ線と接続するほか、關閘イミグレーションから先の青茂イミグレーションまでの延長計画もある。
なお、マカオLRTは全路線(タイパ線、石排灣線、横琴線と建設中の東線)で日本の三菱重工業の全自動無人運転車両(AGT:Automated Guideway Transit)システム一式を採用。営業運転中の3路線を走る車両はすべて日本製で、東京のゆりかもめなどと同タイプのものとなっている。 このほか、今月(12月)20日に次の運輸工務長官に就任予定の譚偉文氏は12月1日の記者会見において、渋滞などの交通問題解決に軌道系交通機関の発展が有効であるとし、東線の青茂イミグレーションへの延伸を基礎とした上、マカオ半島心臓部への延伸についても検討を行う考えを示した。