将来は年金を「月20万円」受け取りたいです。大卒の“初任給”くらいあれば老後も暮らしていけると思うのですが、無謀ですか?「年収350万円」ですが、転職で年収を上げるべきでしょうか…?
近年では、定年を迎えて退職金を受け取っても悠々自適な生活が待っているわけではないといわれることが少なくありませんが、それでも「老後はできる限り年金を多くもらって生活を楽にしたい」と考える人は多いのではないでしょうか。 本記事では、65歳からは大卒初任給と同程度の月収20万円を年金で賄いたいと考えていて、現在「35歳で年収350万円」の場合は、これから現役の間にいくら稼ぐ必要があるのか解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
老齢年金を増やすには?
原則65歳から受け取れる老齢年金は、一般的に老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があります。 老齢基礎年金は国民年金保険料を納付することで受給資格が得られ、満額納付すると月額6万8000円(2024年度)もらえます。年金保険料の未納や免除等の期間があると減額されますが、満額納付しているとこれ以上増額されるわけではないため、年金額を増やすためには老齢基礎年金以外の部分を上積みする必要があります。 いまは「iDeCo」と呼ばれる個人型確定拠出年金など、私的に準備できる制度も用意されていますが、公的年金としては厚生年金保険に加入することで受給資格が得られる老齢厚生年金の部分を充実させる方法が一般的です。
現役時代に月額いくら稼ぐ必要がある?
現在会社員で国民年金と厚生年金に加入し、それぞれ保険料は今後も含めて満額納付して未納や滞納、免除等の期間はないものとします。実際にもらえる金額は法律の規定で毎年変わる可能性がありますが、老齢基礎年金額は2024年度の金額が毎年もらえると仮定します。 老齢基礎年金は、月額6万8000円もらえるため、年金で月額20万円受け取るには、老齢厚生年金で月額13万2000円(年額158万4000円)以上となるように準備しておかなければなりません。 老齢厚生年金は基本的に報酬比例部分、経過的加算、加給年金額を合わせて計算されますが、今回は話を分かりやすくするため、年金額計算の基礎となる報酬比例部分のみで試算します。 老齢厚生年金は加入期間や加入中の報酬規模によって金額が変化し、報酬比例部分は加入期間によって2つの計算方法が用意されています。 ・(2003年3月以前)平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数 ・(2003年4月以降)平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数 今回は現在35歳の設定のため、22歳で新卒入社したとしても「2003年4月以降」の加入となるため、後者の計算式が適用されます。 22歳から35歳までの13年間(156月)は平均標準報酬額30万円とすると、現時点でもらえる老齢厚生年金額は年間で約25万6510円です。将来年額158万4000円以上もらえるようにするには、今後30年間(360月)で不足分の132万7490円を準備する必要があります。 2003年4月以降の報酬比例部分の計算式に当てはめると、平均報酬額は約67万2773円となります。つまり、年収800万円以上稼がなければならない計算です。